sts 06 「芽生えゆく焦燥」
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上の人間だということは察することが出来る。あれでリミッターが掛かっているのであれば、私の予想よりも遥かに凄い魔導師なんだろう。
A級デバイスマイスターの資格を持っているシャーリーさんが認めるメカニックで……なのはさん達にも負けない力量を持った魔導師。私なんかとは全然違う……私みたいな凡人とは。
どうして最初会ったときに自分と同じような匂いを感じてしまったのだろう。なのはさんのようにエースオブエースと呼ばれたりしていなかったから? 発せられる雰囲気に圧倒されるものがなかったから?
ううん、違う……私が弱いから。才能がない魔導師だからだ。
この部隊の隊長陣は普通に考えれば異常とも思える実力を持った人間が集まっている。まあ新設部隊なのでスタッフは新人が中心のようなので、その配慮かもしれないが。
でも……才能溢れる人材が集まっているのは確かだ。
フォワード陣に関してもスバルは私なんかより体力も魔力を優れてる。エリオにはスピードと魔力変換資質があるし、キャロには強大な力を秘めたチビ竜を使役する力がある。……私には、私にはこれといって何もない。
やり遂げたい目標のために努力してきた。気後れもあったけどこの部隊に入って、なのはさんの厳しい訓練にも付いて行っている。でも……みんなはどんどん成長していくのに私は部隊に入る前と大して変わっていない。差は日に日に開いていっている。
「へばって昼飯を食べてないんじゃないかと思ったが、ちゃんと食べてるみたいだな」
第三者の声に意識を向けてみると、そこにはヴィータ副隊長の姿があった。見た目は私よりも小さくて子供のように見えるけど、エースと呼べそうなほどの経験と実力を持つ高ランクの騎士だ。個別指導ではスバルの指導を行っている。
「ヴィータ副隊長、どうかしたんですか? ……まままさか訓練の時間過ぎてるとか!?」
「ちげぇから落ち着け。大体な、もしそうならこんな穏やかに来てねぇっつうの」
「あはは……ですよね。すみません。……えっと、それじゃあ何しに? ご飯を食べに来たようにも見えませんけど」
「別に大した用じゃねぇよ。これをお前らに持ってきただけだ」
ヴィータ副隊長がテーブルの上に置いたのは、ケーキでも入っていそうな白い箱。食い気の張っているスバルが何なのか問いかけると、ヴィータ副隊長はすぐに中を見せてくれた。
箱の中に入っていたのは、見ただけでそのへんで市販されているものではないと分かる綺麗な円形のケーキが入っていた。スパゲティで充分満腹になっていた私でさえ、食べたいと思える代物だった。
「ヴィ、ヴィータ副隊長……これ本当に食べていいんですか?」
「ん? 食べていいに決まってんだろ。ダメならそもそも持ってきてねぇ……まあ無理なら食べなくていいけどな」
そんな
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