sts 06 「芽生えゆく焦燥」
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書きを持つショウさんに興味がないわけではないので耳だけはきちんと傾ける。
「その、兄さんと出会ったのは大分前のことで……フェイトさんがある日連れてきてくれたんです。兄さんがどんな人なのか、どういう仕事をしているとかはフェイトさんから毎度のように話してくれていたんで、恐怖心みたいなのはなかったですね」
私の考え過ぎかもしれないけど、今のエリオの言葉を鵜呑みにして想像を働かせるとフェイト隊長がショウさんに気があるように思えるんだけど。
多分あれよね、エリオが説明し忘れているだけでなのはさんやはやて部隊長の話もしつつ、その中で出てきただけってはず。確かな証拠もないのに疑うのは良くないし、同じ世界で過ごした時間があるんだから話に出てもおかしくないわけだし。
「ただ……兄さんって普段感情を顔に出していない人じゃないですか。だから直接顔を合わせると緊張しちゃって。まあフェイトさんも一緒で気まずい感じにはならずに済んだんですけどね」
「そうなんだ。確かにショウさんとふたりっきりで話すのは私も緊張するかも。何ていうか、ふざけたら怒られそうだし」
「限度を弁えずにふざけたらショウさんじゃなくても怒るわよ」
一般的なことを口に出すと、スバルは笑って誤魔化し始める。
まったく……もう少し言葉は選んで発言しなさいよ。ふとしたことがきっかけで面倒事に発展したりもするんだから。
「それでエリオ、それからショウさんとどうなったわけ?」
「あれ? ティア、興味なさそうにしてたのに本当は興味あったんだ」
「うっさい、私が止めちゃったから話を進めようとしただけよ」
別にエリオとショウさんの関係を知っていようと知らないでいようと、私には大した問題は起きない。私が知りたいと思っている部分はあの人の魔導師やメカニックとしての腕に関すること……言ってしまえば才能に関するところだ。
「それでどうなったわけ?」
「あっはい。それからは僕のことを気に掛けてくれていたのか、ひとりでもちょくちょく会いに来てくれるようになったんです。それで少しずつ話すようになって……」
エリオは次々とショウさんとの思い出を話していく。会いに来る度にお菓子を持ってきてくれたこと。魔法のことを知りたいといえば大抵のことは教えてくれたこと。
それらを話すエリオの顔は本当に心から楽しいと思ってたんだと分かるほどの笑顔で、私にはほんの少し眩しくて辛く思えた。今は兄さんを慕っていた頃の自分を重ねてしまったから。
「管理局に入りたいと思ってることを言ったらこう言ってくれたんです。本当にやりたいこと、なりたいものがあるなら全力でやってみればいい。もし間違った道に行こうとしたなら止めてやるから、って。それで……そのうちお兄さんみたいだなって思うようになって、思い切
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