sts 06 「芽生えゆく焦燥」
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ちなんで……」
エリオの発言に思い当たるものがあった私は、さらに話を進めようとするスバルに制止を掛けようとした。だがスバルのほうが1歩早く口を開いてしまったため、会話は続いてしまう。
「管理局本局? 住宅エリアってこと?」
「いえ、本局の特別保護施設育ちなんです。8歳までそこに居ました」
言っているエリオ本人の顔は明るいが、スバルもようやく自分が不味い話をしてしまったことに気が付いたようで顔色が曇る。
ここで口に出してスバルを責めてしまうとエリオに気を遣わせてしまうと思った私は、彼女にだけ念話で「バカ」と簡潔に伝えた。
まったく何やってんのよ。この場でエリオの話から事情が汲み取れてなかったのあんただけよ。キャロだって察してたんだからあんたも察しなさいよね。こういうところが抜けてるから私の負担が増えるんだから。
「あ、あの……気にしないでください。優しくしてもらってましたし、全然普通に幸せに暮らしてましたんで」
スバルよりもエリオのほうが大人な気がしてきた。今はまだスバルのほうが上っぽくはあるけど、時間が経つにつれて立場が逆転しそうだわ。私の負担は減りそうだけど、年下にスバルの面倒を見せるのもどうかと思うし……私が面倒見るしかないわよね。
「あっそうそう、確かその頃からフェイトさんがエリオの保護責任者なんだもんね」
「はい、もう物心ついた頃から色々と良くしてもらって……魔法も僕が勉強をし始めてからは時々教えてもらって。いつも優しくしてくれて、今も僕はフェイトさんに育ててもらっていると思っています」
フェイト隊長のことを話すエリオの顔は、本当に感謝しているのが人目で分かるものだった。
「フェイトさん、子供の頃に家庭のことでちょっとだけ寂しい思いをしたことがあるって。だから寂しい子供や悲しい子供をほっとけないんだそうです。自分も優しくしてくれる温かい手に救ってもらったからって」
優しそうな人だってのは分かってたけど、やっぱりこうして人の口から聞くと感じ方が違うわね。
私とそんなに歳が変わらないのにオーバーSランクの魔導師で執務官。憧れのような気持ちを持つけど、その一方で自分との才能の差を感じてしまう。
自分の内側に意識が向きそうになったとき、キャロが何かを思い出したかのように話し始めた。
「あっ、そういえば……エリオくん、何でショウさんのことお兄さんって呼んでるの? 初めて出動した日より前は言ってなかったような気がするんだけど」
「私も実は気になってたんだよね」
「えっと……別に大した理由じゃないですよ」
少し恥ずかしそうにしながら「それでもいいんですか?」と視線で投げかけてきたエリオにスバル達は即行で頷く。私は興味がないように振る舞ったが、特殊魔導技官何ていう肩
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