第一章
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銀泡
金色には飽きた、彼関広幸はそう思った。
それでだ、自分が務めている店長の趣味で見渡す限り金色と赤の眩いばかりの店の中で同僚に相談した。
「少し金色から離れたいな」
「この店にいるとか」
「何処もかしこも金色だろ」
「当たり前だろ、ここは夜の店だぞ」
同僚はこう彼に答えた。
「ホステスがいる、だったらな」
「金色が多いのもか」
「あと赤な」
この二色が、だがやはりメインは金色だった。
「その色が多いのもだよ」
「当然か」
「当たり前だろ、そうした店はこの国だけじゃないみたいだぞ」
「日本やアメリカでもか」
「金色だよ」
「きんきらきんか」
「そうだよ、金色で派手に飾ってな」
店の中をだ。
「それでお客さんに朗らかに飲んでもらうんだろ」
「それはわかってるしな」
広幸は開店前の掃除をしつつ応えた。
「俺だって金色は好きさ、この上海だって好きだよ」
「じゃあ何が不満なんだよ」
「こう金色ばかりじゃ飽きるんだよ、他の色が見たくなってきたな」
「赤あるだろ」
「だからその二色以外だよ。何かあるか?」
「そんなに金色以外が見たいんなら転職か旅行するか?」
「転職?この仕事好きだからな」
夜の店で働くことがだ、広幸はそうしたことに独特のえも言われぬロマンティズムを感じていてそれでこうした店で働くことが気に入っているのだ、給料のよさもあり。
「それは嫌だな」
「じゃあ旅行に行けよ」
「旅行か」
「金はあるか?」
「あるさ、結構貯めてるぜ」
「じゃあそれ使って行け」
旅行にとだ、同僚は広幸の長方形の顔の輪郭で目は細いその顔を見つつ返した。髪は奇麗に後ろに撫で付けている。
「いいな」
「旅行か」
「金色以外がある場所にな」
「そうだな、ちょっといい場所探して行って来るな」
それで金色以外の色を見て気分転換をすることにした、そしてこの話をしてから暫く経ってオーナーに行って一週間程休みを貰ってだった。
そのうえで旅行に行った、行ったその場所は。
雲南省だった、上海から遠く離れた山地だ。ミャンマーとの国境に近い。
その上海とは全く違う山ばかりの土地に来てだ、驚く彼にガイドの馬宮且が言って来た。背の高い広幸と違い小柄な初老の人だ。
「いや、お客さん運がいいね」
「俺運がいいんですか」
「実はもうすぐ祭りなんだよ」
「へえ、そうなんですか」
「目脳節っていってね」
「その祭りは何ですか?」
「この辺りに住んでいる少数民族の人達でね」
「ああ、漢民族以外の」
広幸もその話を聞いて納得した、中国は多民族国家であり特に雲南には少数民族が多いのである。
「そうした人達ですね」
「そうだよ、ジンポー族っていって
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