第三十二話 テスト勉強その十二
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「そういうのはまやかしだから」
「読解力関係ないの」
「だってさ、小難しいこと理解して頭がよくなるんなら」
それこそというのだ。
「世の中苦労しないから」
「そうしたものなの」
「そう、だからね」
「吉本隆明にしても難しいこと書くだけの人は」
「読まなくていいと思うよ」
はっきりと言い捨てた言葉だった。
「そんなのはね」
「戦後最大の思想家の本でも」
「だって麻原絶賛する様な人だから」
例えそこまで呼ばれていて持て囃されていてもというのだ。
「そんな人過去に何言っててもそれもたかが知れてるよ」
「オウムを支持する位だと」
「もう最初から」
「というかあんな人が戦後最大の思想家っていう方が駄目だから」
こうも言う小山田君だった。
「戦後の日本の思想自体がね」
「ううん、そういうものなの」
「吉本隆明にしても」
「それに難しいだけの文章も」
「何もないのね」
「教科書でもね」
例えテストに出る様な文章であってもというのだ。
「そういうのは割り切ってね」
「ただのあれね」
「テストに出ることを覚えればいいだけ」
「それだけなのね」
「僕はそう思うよ」
こう皆に話した小山田君だった、僕はその小山田君の言葉を少し離れた場所で聞いて頷いていた。そしてクラスの窓を見ると。
もう雨雲はなかった、あるのは青空だけだった。その青空を見てだ、僕は夏がはじまってその最初のイベントである期末テストのことを皆と一緒に考えていた。
第三十二話 完
2015・2・15
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