第6章 流されて異界
第117話 リリーフ
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それとも、と迷って居た僅かな刹那。まったく、予想外の場所からハルヒの言葉を全否定する内容の言葉が掛けられた。
「武神さんの球が打者の手元で変化した事によりバットの芯を外されて、当たりそこないのサードゴロに終わったのですから」
普段の少しおどおどした状態と違い、割としっかりとした口調で澱みなく続ける彼女……弓月桜。もっとも、この球技大会が始まってからの彼女は、普段よりも胸を張っているような気もしますが。
ただ、何にしても
「あれがツーシーム・ファストボールと言う球やな」
手元で細かく変化する球まで見極められていたか。少し弓月桜と言う名前の少女に対する認識を改める必要が有りだな、そう考えながらも、表面上はそんな雰囲気を出す事もなく、弓月さんの台詞に続ける俺。
そう、ツーシーム・ファストボール。分類としてはストレートに分類される球なのですが、実質は変化球。縫い目に人差し指と中指を沿わせて握る為に、ボールの回転による揚力が発生し辛くなり、打者から見ると僅かに沈んだように感じる球となる。
いや、俺のツーシームは完全に沈む球として使用可能の球。そもそも、俺のストレートはハルヒの投じるソレと違い、伸びの悪い……つまり、回転の悪いズドンと来る球。故に、有希のキャッチャーミットが鳴らす音が悪い球と成るのですが。そのストレートの軌道がハルヒの投げていたバックスピンの掛かった、まるで浮き上がるように感じるストレートとは違う軌道となる以上、ツーシームに求められる物はそれ以上の変化、と言う事に成ります。
打者の手元で鋭く落ちる。それが俺の投げるツーシームと言う変化球。
何にしても五球でツーアウト。省エネ投法としてはこんな物。
次は……。
「プレイ!」
バッターボックスに入る打者を睨む俺。九組の三番バッター。この世界ではランディと言う名前のオーストラリアからの留学生。ハルケギニア世界ではソルジーヴィオと言う名の商人。ゲルマニアの皇太子などを演じて居る人物。
コイツは何を考えて居るのかさっぱり分からない存在。同じ危険な存在としてならば、自称リチャードの方が分かり易い、と思う。何故ならば、古の狂気の書物に記されている内容からアイツの神格を判断するのなら、自称リチャードの神格の基本は俗物。食欲や性欲などの人間と大きな違いのない、それも人間の原初的な欲望しか持ち得ない存在の可能性が高いのですが、もう一柱の方は……。
出会う度に見せて居る薄ら笑いを俺に見せ、バットを構える自称ランディくん。
非常に綺麗な構え。強打者特有の雰囲気、と言う物は感じられますが、しかし、人外の存在の気配を感じさせる事はなし。
【初球はスローカーブを真ん中に】
かなり大胆な初球の入りを伝えて来る有希。
普
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