第6章 流されて異界
第117話 リリーフ
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、ツーストライクに追い込まれてから二球ファールで粘ってからの六球目。胸の直ぐ下辺りから落ちて行くボール。
この決勝戦になってからあまり投じられて来て居ませんが、朝倉さんの調べてきた情報の中には存在して居た自称リチャードくんの持ち球のひとつ、チェンジアップ。
どう考えても高校球児が投じるチェンジアップを普通の女子高生――それも、文化系の部に所属する女子生徒が打ち返せるとは思えないのですが、それでも弓月さんが打ち返した球は動きの鈍い二塁手の左を抜けライト前へと転がり――
バットにボールが当たったかどうか分からないタイミング。おそらく、自称リチャードくんが投球に入ると同時にスタートを切って居たセカンドランナーのさつきが悠々とホームイン。
これで八対十の二点差。
一度は諦めかけていた応援団に活気が戻る。
しかし――
八番のお調子男の結果は……気分はレフトオーバーのホームラン。しかし、ボールの方はキャッチャーミットと言うお粗末な結果の三振。
そして、俺の特別代走として出塁し、万結のレフトオーバーのホームランに因って歩いてホームに戻って来た九番は、当たりそこないのピッチャーゴロ。一−四−三のダブルプレイにてこの三回の裏の反撃は五点で終了。
流石に、さつきの言うようには成りませんでしたが、それでも先の試合展開に希望を持つ事の出来る結果となったのは間違いないでしょう。
規定の投球練習を終え、矢張り、少し気に成る頭に巻かれた包帯の具合を確認する俺。尚、当然のように先ほどの死球でも俺の頭に実害はなし。
もっとも、実害が有れば、その段階で球技大会自体が中止と成って居るはずですから、自称ランディくんや、リチャードくんが俺の事を本気で殺しに来たとも思えないので、実害がない事の方が当たり前、なのですが。
ただ、ハルヒが言うには、
「包帯でも巻いて置きなさい。その方が痛々しく見えるから」
……と言う事になるらしく、三回の裏の攻撃の最中に彼女により頭へと巻かれ、現在の俺は包帯少女ならぬ、包帯少年へと進化していた。
確かに、髪の毛の色は蒼。瞳は蒼と紅のオッドアイ。この妙に中二的な設定がハルケギニアで継ぎ足されているので、この上、頭部に負傷した挙句の包帯ぐらいが継ぎ足されたぐらい問題はない。
……はず。
「ちょっと、あんた。何よ、そのやる気のない投球練習は!」
その俺に対して、セカンドの守備位置に入ったハルヒが怒声を飛ばす。
う〜む、しかし、この声の掛け方では激を入れているのか、それとも野次を飛ばしているのかさっぱりと分からないのですが……。
ただ、多分なのですが、ハルヒ自身には悪意はない、……と思うので、単に激を入れただけ、と考えた方が正解のように思うのですが。
もっとも、
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