第6章 流されて異界
第117話 リリーフ
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に、ヘルメットに関してもサイズが有っていない少し大きめなサイズ。
もう、このままお持ち帰りしたくなる、と言う感じ。
身長が彼女より十センチほど低いさつきや、そんなに変わらない万結はちゃんと身体のサイズに有った制服や体操着を着ている事から考えると、身体に合ったサイズの制服や体操着がない、と言う訳では有りません。
ついでに、彼女の貯金はゼロが八つほど付いて居る状態なので、成長する事を想定して大き目のサイズを用意しなければならない訳でもない。
もしかして、周りから彼女の事を見た時の印象を意識した着こなしなのでは……。
そんな、名が体を表す……長門有希。逆から読むとキュートかな、と言う呪が籠められた名前通りの容姿を持った少女型人工生命体。
どう見てもやる気ゼロ。まして戦意や熱意を彼女の瞳から感じる事も不可能なので……。
しかし――
初球。カウントを取りに来た高目のストレートを一閃。
猛烈な勢いのピッチャー返し。九組のエース、自称リチャードくんが危うく二人目の退場者に成るかと思われたが、しかし、辛うじて躱し打球はそのままセンター前に。
ただ、残念な事に、打球の方向が悪かった――もしかするとピッチャーライナーとして処理される可能性が有った為と、その猛烈な勢いにより、流石に俊足のセカンドランナー朝倉さんもサード止まり。サードを回ったトコロで本塁を窺う仕草を行ったが、センターからの返球がキャッチャーに返された段階で三塁へと帰った。
一塁々上の有希の様子は普段とまったく変わらず。非常に淡々とした雰囲気で、ただ静かにその場にいるだけ。今の彼女が、俺の死球に対する報復を行ったとは思い難い状況。
それに、確かにセンター返しはバッティングの基本。来た球に自然とバットを出せば、打球は自ずとセンターに向かう事となる。
但し、それは投手に対してスクエアに構えて、そこから楽にバットを出した時に打球は自然とセンターに向かう、と言う事。有希の場合は、ホームベースに正対する形ではなく、投手に対して正対するような、極端なオープンスタンス。
確かに、ここから強く踏み込んで行く事によってオープンスタンスからスクエアスタンスに近い形で球を捉える事は可能ですが……。
先ほどの朝倉さんと同じように――
何にしてもノーアウト満塁。続くバッターは第一打席、センターの好守に因りホームランを阻止された万結。キャラクター的には有希と被る部分の多い彼女なのですが、バッティングフォームに関しては違い、万結の方は基本に忠実。スクエアに構え、スタンスも肩幅。身体に不必要な力は加えられては居ませんが、ただその場に突っ立って居るだけ、と感じさせる有希と比べると、これから投球を待つ打者の構えと思わせる打撃フォームで立って居る。
自らの特殊能力
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