小鳥と薔薇
[5/7]
[1]次 [9]前 最後 最初
「足に頼ったらね」
小鳥達は言った。
「けれど他にどうやって」
「移ればいいんだよ」
「移れば?」
「そうさ。まずはこれを受け取って」
「うん」
小鳥達からそれぞれ羽毛を受け取った。
「それをね、飲むんだ」
「羽毛を飲むのかい?」
「鳥になれ、って念じながらね。鳥の言葉で」
「鳥の言葉で」
「人の言葉だったら無理だけれど鳥の言葉なら大丈夫だよ」
「そうしたら鳥になれるから。すぐにその森に行くことが出来るよ」
「そうか、有り難う」
パトリックは一言礼を述べるとその羽毛を飲み込んだ。鳥の言葉で飛べ、と念じながら。
すると不思議なことが起こった。彼の姿が見る見るうちに鳥のそれになったのだ。今彼は完全に鳥となった。
「それならすぐに行けるね」
「うん」
鳥になったパトリックは頷いた。
「これならすぐにでも」
「ところで聞きたいのだけれど」
「何だい?」
「その小鳥だけれどね」
「うん」
「貴方の。何なのかな」
「友達さ」
彼は答えた。
「友達」
「そう、かけがえのない友達なんだ」
彼は強い声でこう言った。
「他の何よりも」
この時わかった。彼は恋よりも友情が大切なのだと。そしてその為の犠牲なぞあってはならないのだと。彼はわかったのだ。
「そんなに大事なんだ」
「うん、だから今から行くよ」
そう言って翼を動かした。そして舞い上がる。
「友達を救いに」
「頑張ってな」
小鳥達は彼に声をかけた。
「それ程大事なものなら」
「何があっても守り抜くんだ」
「僕は誓ったんだ」
彼は最後に言った。
「何があっても彼を守るって。今がその時だ」
そしてレンスターの端へ向けて飛んで行く。他には何も見ようとはしなかった。ただ森だけを目指していたのであった。
森にまで辿り着いたのはあっという間だった。気が付けばもう森の前にまで来ていた。彼にはわかった。そこに今ホリンがいるのだと。
「君を死なせはしない」
パトリックは森の前まで来ると一言こう呟いた。
「犠牲になんか。絶対にさせない」
そして森の中に入った。そのまま薔薇のある場所まで向かった。
この時ホリンは薔薇の前にいた。そして薔薇の話を聞いていた。
「そうしたら君は赤い薔薇になれるんだね?」
「そうよ」
薔薇は澄んではいるが冷たい響きの声で彼に答えた。
「私が赤い薔薇になるには血が必要なの」
薔薇はホリンに対して言う。
「その棘に貴方の胸を刺せば。その血で赤くなれるわ」
「本当に赤い薔薇になれるんだね」
「私は嘘は言わないわ」
薔薇はまた冷たい声で言った。
「
[1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ