4部分:第四章
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第四章
「その吸血鬼の中に」
「さっきやっていただろう」
兄も負けてはいない。
「だから行け。御前なら大丈夫だ」
「花の乙女に吸血鬼の相手をさせるなんて」
「その御前が原因だろうが。早く行け」
また告げるのだった。
「わかったな。早く行け」
「ええ、わかったわよ」
とりあえず悠長なことを言っていられる状況ではないのはもうわかっていた。既にキョンシー達は棺から出てそのうえで跳ねだしている。このままだと。
「じゃあ。これからね」
「され、それではだ」
銅雀は口と鼻をその左手で押さえだした。
「今から札を集める。その間頼むぞ」
「うう、何で私がこんなことを」
木刀を両手で、、日本の剣道の様にして構えながら言う花蓮だった。
「しなくちゃいけないのよ」
「御前のせいだ」
兄の言葉は険しかった。
「だから我慢しろ、いいな」
「わかったわよ。じゃあお兄ちゃんは」
「僕は札を集める」
兄の仕事はもう決まっていた。
「いいな、御前が突っ込むその間にだ」
「やってやるわよ」
覚悟を決めるしかなかった。
「これでも日本の剣道三段だからね」
「じゃあその三段の腕前をだ」
「見せてやるわよ」
完全に売り言葉に買い言葉になっていた。
「お兄ちゃんにね」
「だから僕に見せてどうするんだ」
「五月蝿いわね、とにかく誰でもいいから見せてあげるわよ」
「また随分やけだな」
「ええ、そうよ」
そのことを隠そうともしない。
「こうなったらね。やってやるわよ」
「じゃあやれ」
兄も兄で随分な態度である。
「とにっかう何とかしないとだ」
「私達が吸血鬼になっちゃうってことね」
「なりたいか?」
ここでそのまま妹に問うた。
「吸血鬼に」
「冗談でしょ」
これが返事だった。
「何でこんな連中になりたいのよ」
「じゃあわたってるな」
「よくね」
言うまでもないということだった。
「わかってるわよ。それじゃあ」
「やれ」
こうしてキョンシー達を叩きのめしてその間に兄が札を貼っていく。こうして何とかことなしを得たのであった。しかし終わってみてこう思う他なかった。
「疲れたわ」
「僕もだ」
疲れたのは二人共だった。キョンシー達を再び棺に納めてから安堵の息をつくのであった。
そのうえでその場にへ垂れ込んで。二人で言い合う。
「映画みたいになったわね」
「映画と違うところが一つだけあるぞ」
「何?それ」
「キョンシーになるのが映画の主役じゃなくて僕達だ」
そこが違うというのである。
「それが違うぞ」
「そうね。確かにね」
その通りだった。そこが違う。しかもそれはかなりの違いである。
「本当にキョンシーになるところだったのね」
「これでわかった
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