3部分:第三章
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第三章
「何かあったら御前もキョンシーになっていたんだぞ」
「私がキョンシーに」
「それか首を引き千切られて血を吸われていたんだぞ」
「えっ、それは」
あの古い本に書かれていたキョンシーの血の吸い方である。キョンシーによってはそうした血の吸い方をしたりするのは本にある通りである。
「そうなったらそれこそ」
「洒落にならないぞ。わかっていたのか?そういうのは」
「わかっていたけれど」
「お父さんとお母さんには黙っておいてやる」
それは許すというのである。
「しかしだ。こんなことは二度としないようにな」
「はい・・・・・・」
項垂れた声で応える花蓮だった。
「わかりました」
「キョンシーは映画だけで沢山だ」
そして銅雀は今度はこんなことを言うのだった。
「もうな。それだけでいいんだ」
「映画だけでいいの」
「実際に暴れられてわかっただろう」
「確かに」
そう言われるとだった。あらためてそのキョンシー達が眠っている棺を見る。もう二度とあんなことはしないと確かに頷くものがそこにはあった。
「わかったら二度とするな。いいな」
「わかったわ。本当にね」
「わかったら行くぞ、いいな」
兄は妹にこう告げて部屋を去ろうとする。しかしであった。
不意に棺の蓋が一斉に開きだした。そうしてその中から。
「えっ!?」
「何だとっ!?まさか」
それを見て花蓮も銅雀も目を瞠った。
「まさか。お札貼ったのに」
「どういうことだ!?これは」
棺からキョンシー達が出て来る。何とその札が剥がれていた。これで謎が解けたのだった。
「お札が!」
「おい花蓮!」
思わず妹に対して叫ぶ兄だった。
「御前真面目に貼っていなかったのか!」
「貼ったわよ!けれど」
「この未熟者!」
何故こうなったのかはすぐにわかった兄だった。
「普段から勉強しておけ修業しておけと言っているだろう!だからこんなことになるんだ!」
「わかったわよ!それでどうすればいいのよ!」
「またお札を貼るんだ!」
何につけてもそれであった。
「いいな、すぐにだ!」
「それでお札は」
「待て、今出す」
こう言って道服の左の袖に右手を入れる。しかしであった。
「まずいな」
「まずいって?」
「ない」
こう言うのであった。
「糊はあるがそれはない」
「お札がないってことは」
「今は封じることができない」
強張った顔での言葉である。
「お札があるのは」
「棺の中だけれど」
そのキョンシーが出て来た棺の中だというのである。
「あそこよ」
「どうすればいいんだ?」
真顔で正面を向いたまま妹に問う。表情が完全に消えてしまっている。
「ここは」
「お兄ちゃんに何か考えは?」
「あると思う
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