第百六十四話 外道
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残るための宿主をな。そんな時お前に出会った』
「3年前……友達の浩樹が死んで、悲しみに暮れていた時か」
『いや、お前は友達の死を悲しんではいなかった。むしろ憎んでいたじゃないか、一緒にデジタルワールドに行くと約束したのに、どうして先に死んでしまったのかと』
途端、及川に動揺が走った。
及川「まさか!!俺が浩樹を憎むなんて!!」
唇はガバリと文字通り大きく口を開く。その奥に見えるものは、3年前、東京湾を一望していた及川自身の姿だった。
東京の空に浮かぶデジタルワールド。
これはあの時の…。
太一達がヴァンデモンを倒した日の光景だった。
及川『ああ!あれは…!!見えるか?浩樹!デジタルワールドだ!!他の人間に分からなくても、俺には分かる…!!あれはデジタルワールドだ…!!でも浩樹、酷いよ…先に死ぬなんて…!俺1人残して…!!酷いよ…!!!』
今よりも若い及川が、1枚の写真を握って泣き崩れる。
その時虹色の光が空に浮かぶデジタルワールドに向かって伸びた。
あれは、太一達だ。
それに縋るように及川が手を伸ばす。
及川『俺もっ、連れてってくれ!!頼む!頼むから!!』
及川の言葉が太一達に届くはずもない。
虹色の光は太一達をデジタルワールドへ届けるとすぐに消えてしまった。
それに及川が肩を落とす。
その時、だった。
『デジタルワールドに行きたいか?』
及川『ぁ…!行きたい!行けるものなら行きたい!!』
『お前が心の中の良心を捨てる気があるのなら、連れて行ってやる。どうだ?』
及川『何でもする!!行けるんなら何だって!!』
『分かった。』
及川の耳に白い靄が入って行く。
映像はそこで終わった。
及川「あ、あれは……あれは俺の心の声だと思っていたが、そうじゃなかったのか!!?」
『その後の事も、全て俺が教えてやったぞ』
大輔「成る程、3年前に太一さん達が現実世界で倒した敵…それはあいつしかいない。てめえ、ヴァンデモンだな?」
3年前。
生き残るため。
そのキーワードが当てはまるのは、ヴァンデモンしかいない。
ヴァンデモン『ほう?随分といい勘をしているな。じゃあついでに教えておいてやる、イービルリングはコピーしておいたテイルモンのホーリーリングのデータを逆転させ作ったのだ』
大輔「屑が!!だが、お前もここまでだ。ここで完全に息の根を止めてやるぜ」
『無理だな、俺は昔の俺じゃない』
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