暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝
第二百十話 夜の戦その六

[8]前話 [2]次話
「わかったな」
「はっ、では」
「その様に」
 周りの者達も政宗の言葉に頷く、そしてだった。
 伊達の本軍はすぐに動いた、政宗は自ら鉄砲騎馬隊を率いて川岸に急行した。そして進む中でだった。
 物見達を出しつつだ、彼等の報を聞いて言った。
「そうか、やはり」
「はい、闇夜の中にです」
「柴田勝家の馬印がありました」
「他には前田利家、佐々成政のものも」
「美濃四人衆もいます」
「騎馬隊の数は一万」 
 その数の報もあった。
「一万の騎馬隊がです」
「今まさに川を渡ろうとしています」
「そうしております」
「一万、そしてその将達となるとな」
 どうかとだ、政宗はその隻眼を鋭くさせて言った。
「どういもな」
「危うい」
「そうだと」
「うむ、しかしじゃ」 
 それでもとも言うのだった。
「行くぞ」
「そして川を渡った騎馬隊とですか」
「戦いますか」
「戦いそしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「追い落とすぞ」
「川に」
「そうしますか」
「そうじゃ。例え織田家でもじゃ」
 その軍勢でもというのだ。
「ここで下がれるか」
「いえ、それは」
「我等とて武門」
「ならばです」
「ここで逃げては男がすたります」
「そうじゃ、これ位でじゃ」
 また言う政宗だった。
「下がれぬ、ではな」
「はい、これより」
「攻めましょうぞ」
 家臣達も応えてだった。
 政宗は兵を率いて進みだ、そうして。
 丁渡川を渡った柴田達の騎馬隊を見てだ、こう言った。
「ではな」
「はい」
「これよりですな」
「あの者達を攻め」
「そのうえで」
「追い落とす」
 その川にというのだ。
「よいな」
「では」
「鉄砲を構え」
「行くぞ」
 切り札である鉄砲騎馬隊をここで使うというのだ、そして。
 政宗は自ら軍勢の先頭に立ちだ、騎馬武者達に言った。
「皆の者行くぞ」
「はい、そして」
「そのうえで」
「あの敵を川の向こうまで追い落とすぞ」
 こう言ってだった、自ら馬を駆り。
 織田の騎馬隊を攻めにかかった、柴田はその彼等を見て前田達にこう言った。
「来たぞ、伊達の軍勢がな」
「あれが噂に聞く鉄砲騎馬隊」
「そうですな」
 前田と川尻が柴田に応える。
「あれは手強いですな」
「噂通り」
「馬に乗りつつ鉄砲を放つ」
「よく考えたものです」
「全くじゃ、殿が欲しがる筈じゃ」
 政宗、その彼をというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ