第四十九話 一時の別れその十三
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「あそこに行こうか」
「中央にね」
裕香は薊のその言葉に頷いた、そしてだった。
全員でその横須賀中央駅前に行った、そこを薊の案内で見回っていたが実に多くの店があってそうしてだった。
裕香はその店達を見ていてだ、微笑んでこう言ったのだった。
「何かここにいたら」
「いい感じだろ」
「それだけで楽しくなるわね」
「あたしもなんだよ、だからな」
薊は裕香の言葉に微笑んで答えた。
「ちょっと暇があると歩いてたんだよ」
「そうだったの」
「普通にな。ただな」
「ただ?」
「ここで結構変な奴に絡まれたな」
「暴走族とか」
「治安はいい場所だけれどな」
それでもなのだ、何処でもそうした輩がいるのだ。数は少ないにしても。
「肩が触れたとかそんなのでな」
「揉めてなの」
「喧嘩になったな」
「薊ちゃんと喧嘩したら」
それこそとだ、裕香は薊に目を顰めさせて返した。
「普通に負けるでしょ」
「ああ、いつもな」
そうした輩はというのだ。
「叩きのめしてたよ」
「そうよね、薊ちゃんだとね」
「喧嘩に負けたことはないぜ」
薊はCDショップを外から見ながらにかっと笑って答えた。
「何人が相手でもな」
「物凄く強いからね、力なくても」
つまり拳法の腕だけでというのだ。薊は。
「その辺りの族だとな」
「昔でもよね」
「倒してきたぜ」
実際にというのだ。
「族位ならな」
「何でもないわよね、薊ちゃんなら」
「棒はいつも持ってたし」
その七節棍だ。
「それに素手だってな」
「戦えるから」
「族とか街の不良程度なら」
まさにその程度なのだ、薊にとっては。
「軽くいなしてたよ、それでな」
「それで?」
「二十回位喧嘩してたらな」
それで勝ってきたのだ、そうなってきたならどうなったかというのだ。
「もう誰も喧嘩売ってこなくなってそれでな」
「それで?」
「ヤクザ屋さんからスカウトきたよ」
人の社会あるところに極道ありと言うべきか、しかも社会が安定するとそれでヤクザ者が出て来るのである。
「どうかってな」
「それ駄目じゃないの?」
裕香は薊のその話を聞いて今度は眉を曇らせて問うた。
「それは」
「ああ、だからな」
「断ったわよね」
「当たり前だろ、ヤクザ屋さんなんてな」
それこそとだ、薊も言う。
「なるもんじゃないからな」
「なったら駄目よね」
「全うな仕事にならないとな」
それこそというのだ、薊にしても。
「ヤクザなんてな」
「そうそう、ヤクザになんかなったら」
「人間アウトだよ」
「ええ、というかスカウトまで来たの」
「中三の時にな」
「受験の時じゃない」
「だから困ったよ、高校受験の時で忙しいのにな」
そうした厄介
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