第四十九話 一時の別れその十
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「一気にね」
「見事な太刀筋だったわ」
怪人はその技を話した鈴蘭にこうも言った。
「力だけじゃなくてね」
「そう、有り難う」
「全く、してやられたわ」
「闘いは何を使うか」
それはというと。
「頭を使うことよね」
「そうね、確かに」
「それで私も勝った」
「そういうことね」
「ではね」
ここまで話してだ、そしてだった。
その鈴蘭達の横でだ、薊が自分が闘っていた野薔薇の怪人既に死を間近にしている彼女に対して問うた。
「死にそうなのに悪いけれどな」
「いいわ、約束だから」
「そうか、それじゃあな」
「話すわ」
約束通りというのだ。
「そうさせてもらうわ」
「そうしてくれるか」
「ええ、私達はね」
「誰が生み出してるんだ?」
「錬金術師よ」
怪人は薊の問いに答えた。
「貴女達の世界で言うね」
「やっぱりな」
「予想していたのね」
「ああ、ついでに言えばあたし達もだろ」
「そうよ、貴女達にしてもね」
他ならぬ薊達もだというのだ。
「そうなのよ」
「だよな、あたし達もな」
「錬金術師、私達とは別の錬金術師によってね」
「ってことはあたし達の産みの親とあんた達の産みの親はいがみ合ってるんだな」
「その通りよ」
「で、親同士の争いにか」
薊はここでこうも言った。
「子供が巻き込まれてるってことか」
「随分砕けた言い方ね」
「そうだよな、けれどな」
「自分でわかりやすく言ったのね」
「そういうことだよ、とにかくな」
さらに言う薊だった。
「皆造られた存在か」
「私達はね」
「お互いに錬金術師に造られた存在か」
「人造人間ね」
「だよな、あたし達は火とかの力を加えられて」
「私達は動植物の力をよ」
人間の身体にというのだ。
「加えられているのよ」
「そういうことだな」
「私達は産まれてすぐ貴女達に向かっているけれど」
「あたし達の居場所は全部わかってるのか」
「そう、本能的にね」
「人造人間同士が呼び合うか」
「そうなるわね」
怪人もそのことも話した。
「私達は貴女達を本能的に見付けて倒そうとするのよ」
「それで出て来たんだな、いつも」
「ええ」
「そこもわかったぜ、じゃあな」
薊は何故怪人達が自分達のところにいつも出て来るのかある程度であるがわかってよしとした。そしてだった。
怪人にだ、今度はこのことを尋ねた。
「次に聞きたいけれどな」
「まだ死なないわ」
「じゃあ聞くな、あんた達の産みの親は誰だい?」
その錬金術師のことを聞くのだった。
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