第二十六話
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なんか黒い靄を焼き尽くしたような気がするから祟り自体は祓われたような気がするが。
「わかんない」
そう言って俺はソルを構えたまま久遠に近づく。
「どうするの?」
「え?どうするって?」
おれは母さんの声に振り返る。
「その子を殺すのかってこと」
久遠を殺す?
「何で?」
俺は母さんに聞き返した。
「その子が人間を襲う可能性が有る以上この場で止めを刺さないと。あーちゃんが出来ないって言うなら私が。祠を壊したのは母さんだしね」
「そんな!」
なんか色々既に手遅れな気もするが、久遠が神咲那美の両親を殺さなければ『神咲』那美は誕生しないわけだが…
「まあ、そんな事は考えなくても良いかもしれないわね。その子、段々息が細くなって来ているから」
「え?」
それは死の宣告。このままだと久遠は死ぬと言う事だ。
それを聞いた俺は危険をかえりみずに久遠を抱き上げた。
子狐とは言え三歳児には大きく感じられたが、抱き上げた久遠の顔に耳を近づけその呼吸音を聞き、胸に耳を当て心音を聞く。
すると母さんが言うように段々弱くなっていっているようだ。
「どっ、どうしよう!」
俺はパニックを起こして思考が上手くまとまらない。
「落ち着きなさい!」
「え?あぅ」
母さんの一喝に俺は多少冷静さを取り戻し母さんを見る。
「落ち着いた?」
「うん」
「そう。それで?あーちゃんはその子を助けたいの?」
俺は少し考えてから答える。
「うん」
「でも、回復したらまた人を襲うかも知れないのよね?」
「う…」
7割大丈夫だと思うけれど意識を取り戻していない状態では確証は持てない。
助けるだけなら神酒を使えば可能だが、それは母さんが許してくれそうも無い。
「それともその子に人を襲わせないように首輪をつける事が出来るの?」
母さんの言葉に俺は一つ久遠を助ける手段を思いつく。
「…使い魔の契約ならば」
これなら主人を敬愛するように刷り込んでしまう事も可能だ。
そうしてしまえばよほどの事が無い限り主人の言いつけは守るし使い魔への強制も可能だろう。
同時にこれならば弱っていく久遠に自分の魔力を分け与える事で延命させる事もできる。
「そう。じゃあそれで良いんじゃない?」
母さんはあっけらかんとそんな事を言い放った。
「え?でも」
「大丈夫、きっと大丈夫だよ」
そう言って俺の背中を押す言葉を掛ける母さん。
俺はその言葉を聞き、魔法陣を展開する。
魔法陣が俺の足元で展開され淡い光を放つ。
『契約術式展開、契約内容はどうしますか?』
ソルが俺に問
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