第二十六話
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「かっ母さん!」
「なあに?あーちゃん」
「あっ…あっ…あれ!」
そう言って俺が指を指した方向を向く母さん。
「こ、これは?」
母さんも眼にした黒い靄には驚いているようだ。
その靄は見る見る集まり数秒後に一気に霧散したかと思うと、中から一匹の狐が現れた。
その狐は見るからに異様で、大型犬ほどのあろうかと言う体躯、さらにあろう事か尻の付け根から生えている尻尾は5本という、普通の狐とはかけ離れた体をしていた。
眼光は鋭く俺達を睨みつけている。
その眼は狂気に狂わされているような眼だ。
「くおぉぉぉぉぉおぉおおおおん」
狐は天に向って遠吠えをかますと、俺達目掛けて突っ込んできた。
飛び掛りつつ振り上げられる鋭い爪。
すかさず母さんが俺の前に割り込み振り下ろされた爪を二つの竹刀で受け止める。
しかし振り下ろされた爪先から放たれる雷。
バチバチッ
「きゃあっ」
結局体格の差と雷による攻撃により受け止めきる事は出来ずに弾き飛ばされてしまった。
「母さん!」
俺はすぐさま母さんに駆け寄り覚えたてのヒーリング魔法を使う。
「うっ…」
派手に吹き飛ばされたが見掛けほど傷は深くなく、軽い打撲程度だ。
直ぐに意識を持ち直した母さんが俺に上半身を抱きかかえられている事に気づき、更に俺が行使している魔法に気づいた。
「あーちゃん、それ」
「あー、説明は後。それより今はアイツを何とかしないと」
そう言って視線を狐に向けるとまたもや此方に向って突進してくる狐。
『サークルプロテクション』
ソルが術式を展開して瞬時に俺達を包み込むように半球状のバリアが展開される。
ドゴンッ
展開されたバリアにぶち当たり弾き返される狐。
しかし再度バリアに体当たりを開始。
俺はその隙にソルを起動し騎士甲冑を纏う。
「やめろ!俺達はお前と争うつもりはない!」
しかし俺の言葉を理解していない様で体当たりを止めるつもりは無いらしい。
くそ!どうしてこうなった?
恐らくアイツはとらハ3に出てきた久遠で間違いないだろう。
原作の久遠は人間を恨む余り『祟り』に取り付かれていたんだったか。
原作ではおよそ10年前に封印が解かれたとしか説明が無かったがまさかそれを母さんが祠を壊した所為で破られるとか…
どうする?
完全に此方を敵として認識していて俺一人だけならともかく、負傷した母さんを伴っては逃げ切る事は少し難しい。
ならばどうする?
スサノオで酔夢の世界に引きずり込んで封印してしまうか?
ヤタノカガミを持っているから守りは完璧だし恐らく封印する事は可能だろうが、出来
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