暁 〜小説投稿サイト〜
龍が如く‐未来想う者たち‐
秋山 駿
第一章 崩壊する生活
第四話 来訪者
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ないバンダナを頭に巻いており簡単に判別可能だった。


「先程伊達さんから見せていただいたんですが、やはりかなりズームして撮られているので殆ど背景が写ってなくて場所はさっぱり……」
「そうか、やはりわからなかったか。秋山はどうだ?」
「いえ、俺にもわからないっすね。もっと少しでも何か見えていたら、もしかしたら分かったかもしれませんが」
「そうか。秋山なら、わかると思ったんだがな」
「俺、探偵じゃないですからね?」


ちょっと笑いながら写真を返すと、伊達は続けて喋りだす。


「攫われた現場は、田宮の殺害現場。つまり、ミレニアムタワーの屋上らしい。現場に、遥の指紋が残っていた」
「遥ちゃんが、田宮と一緒にいた?」
「可能性はある。今、部下の1人が喜瀬の周囲を調査中だ」
「伊達さんの部下が?それって危ないのでは」
「大丈夫だ、アイツは以前の経験を生かしてうまく立ち回ってるさ」


以前の経験?
言葉が少し引っかかるが、それを聞く前に伊達はお茶を一気に飲み干し立ち上がった。
後に続くように一緒に立ち上がると、1枚の紙が目の前に出される。
それは1人の人物の名前と、連絡先の書かれた紙だった。


「今、喜瀬の調査をしてる部下の連絡先だ。どうやら電話番号変わったみたいでよ、改めて渡してほしい言われてな。明日、こいつから連絡をよこしてくるだろう」
「伊達さん、どうしてここまで」
「俺は、桐生が死んだなんて未だに思っちゃいねぇんだ。桐生の真実を追うには、この事件が関係してると踏んでる。その為には、いろんな人の協力は惜しまねぇさ。例え今の立場を失ったとしても、な」

それは、秋山もお互い様だった。
死んだという文字だけ見せられても、到底納得できるはずがない。
少なくとも、桐生を知る者達は皆そう考えているだろう。
珍しく熱く語る伊達は、恥ずかしそうな顔を浮かべながらドアノブに手をかける。


「じゃあな、秋山。久しぶりに、【神室町のダニ】の姿を拝んで来い」


軽く手を振り、そのままスカイファイナンスを去って行く。
その姿を見送った後に紙に視線を落とすと、気になって駆け寄ってきた花ちゃんが横から覗きこむ。


「社長、どなたの連絡先なんですか?」
「花ちゃん。俺達、もしかしたら強い味方を手に入れちゃったかもね」


紙切れに書かれた、少し乱雑な文字。
気怠げに書いたであろうその文字に、無意識に笑みが溢れる。
綴られた名は、かつての戦友のものだった。


谷村(たにむら)正義(まさよし)、と。
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