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ONE PIECE《エピソードオブ・アンカー》
episode12
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へ投げ落とす。更に動揺した海賊たちを海へ投げ落とす。さすがに気を引き締めだした海賊たちは、それぞれの武器を、悪魔の実の能力を発動させて襲いかかる。
 しかし、悪魔の実の能力はアンカーの武器の前では意味は無い。


「んなっ!? ぬ、抜けられねェ!」

「ああっ? おま、自然系だろーが! 早く抜け出せって!」

「で、出来ねぇンだよ!! てか......ち、力が...」


 もがけばもがくほど、大量の海賊たちを絡め取った鎖が更に体に喰い込む。


「ジンベエ!!」

「おおっ! 魚人空手“千枚瓦正拳”!!」


 一まとめになった海賊たちがもろに喰らう。自然系の能力者も、血反吐を吐き白目を剥いた。
 それからは、ひたすらに海へ投げ落とす行為を繰り返した。いくら泳ぎが達者な人間がいたとしても、魚人には敵わない。
 あとは、海に待機した仲間たちがどうにかするだろう。

 やがて、周りから海賊たちの船は去って行った。
 海に待機していた仲間たちも、しだいに甲板に戻って来る。その全員がアンカーに対して「助かった」「よくやった」と声をかけたり、頭を撫でた。


「......」

「...どうしたんじゃ。どこか痛むのか?」

「いや...そうじゃなくて。皆、優しいなって...」


 皆が慕っていたフィッシャー・タイガーの意思とはいえ、彼の死を早めた仲間に対しての態度とは思えない、とアンカーが話すと、ジンベエの拳が彼女の脳天に振り落とされた。


「いったぁ!!」

「フンッ。いつまでも、そんなことをウダウダと...。ええ加減にせんかぃ。わしらは、お前さんを恨んだりせんわい。お頭の...フィッシャー・タイガーの最期の船長命令に従っただけじゃ」


 ジンベエは呆れた様子でそう言う。「でも...」と声を漏らすと、それ以上言うなと言わんばかりにギロリと睨みつける。さすがにそれ以上は口を噤んだ。

 アンカーが、誰にも聞こえないように「やっぱり、優しいな...」と呟いたことは秘密である。
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