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ONE PIECE《エピソードオブ・アンカー》
episode12
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 血を失い過ぎて朦朧とするタイガーに告げる。ずっと言いたかった。面と向かって「ありがとう」と告げるには年を食い過ぎていて、こんな言い方しか出来ない。
 それでも、皆が涙を流し、名前を呼び続けた。タイガーのその息が絶えるまで......。

 アンカーがそれを知るのは数日後。意識を取り戻した時だった。






「ニュ〜...。ジンベエ親ぶ...船長〜。アンカーの奴が......」

「分かっておる。...また、船の底か」

「どうしましょう...」

「放っておけ。混乱しておるんじゃ。今は、そっとしておいてやるのが一番じゃ」


 タイガーが死に、アーロンが捕まり、ジンベエはタイヨウの海賊団の船長となった。

 意識を取り戻した時にそのことを知ったアンカーは、あまりのことに頭がついて行けず、あの時のように船の底で頭の中の整理に勤しんでいた。

 アンカーの頭の中には、ずっと『何故』が付きまとった。

 『何故』タイガーは死んだ?
 『何故』自分は生きている?
 『何故』タイガーは“死”を選んだ?
 『何故』自分が生かされた?

 分からない。いくら考えても、何も答えは出てこない。


「アンカー!」

「うわっ!? びっくりした...」

「海賊が襲撃して来た。手を貸してくれ。あ、殺すなよ!」


 奴隷解放の英雄フィッシャー・タイガーが死んだというニュースは瞬く間に知れ渡り、近海にいる海賊たちの襲撃はしだいに多くなっていった。
 中には海賊同士で手を組み、力の差を数で埋めようとする者たちもいた。今回の襲撃もそれである。


「一際でけえ魚人が2人もいなくなったんだ! 俺らにも勝機はある! 野郎共、かかれーーーっ!!」

「ウオォーッ!!!」


 海賊たちの主な狙いはジンベエただ1人。
 それなりに名を上げ、手配書まで出回り、この間の海軍との争いで更に金額が上がった。そんな奴を倒したという事実と、願望と、名声が欲しいだけだ。
 大抵の人間なら、少し力を入れて拳を突き出すだけで事は済む。ただ、それだけで済まないからこそ厄介なのだ。まず、数が多過ぎた。

 殺さないように手加減して、大勢の相手をするのは意外に骨が折れる作業なのだ。誰かが、注意を引き付けてくれたら...という考えが浮かんだのとほぼ同時に、敵の海賊たちから「ぎゃあ!」だの「ぐほぁっ」と声が上がり始めた。


「調子に乗るなよ、人間共っ!」

「ア、アンカー!」

「僕が出来るだけ注意を引き付ける。...出来るだけだからね」

「充分じゃわい」


 海賊たちから、どよめきの声が上がる。
 魚人に協力する人間の姿に驚いているようだった。

 その隙を突いて数人を海
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