暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
逃走
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そうな勢いの彼に、たまらずユウキはストップをかけた。

しかし軽く挙げた腕によってそれを封殺したレンは続けて口を開く。

「バレット・オブ・バレッツに、参加したいんだ」

「はぁ?BoBにぃ?そりゃこの装備の山の中からだったら大抵のヤツとは渡り合えるかもだけど……」

なるほど、一応シゲさんはレン達の要請にきちんと答えてくれたらしい。

いくらレンとユウキが、あのSAOにて《六王》という地位に着けてはいても、正真正銘ゲームで稼いでいるプロゲーマーとバリバリの初期装備で戦えるというわけにはいかない。いや、色々と規格外の卿か、接近戦(インファイト)上等どころか専門分野のテオドラだったら話は別だろうが。

トッププレイヤーとは、いやプレイヤーの強さと装備アイテムのレア度は、悲しいまでに不可分だ。そもそも他者と競い合う一面があるMMOなのだ。レア装備の奪い合いは、その最たるものと言っていいだろう。

だからレン達もコンバートにあたり、どうしても先立つものは必要だったのである。あまり見せびらかせない心意の力を自重するのだからよっぽどだ。

ふんふんと頷きながらレンはリラの言葉を待つ。

「…………あー、もう。分かったわよ、参加登録するまで付き合ってあげる。だけどその先は――――敵同士、いい?」

「もちろん」

不敵に笑うレンを横目で見つめながら、ユウキは不思議に安堵している自分を見つけて困惑した。

―――何でボク、こんなに安心してるんだろう……。

同意の握手を交わす二人の眼前で、少女は一人舳先が切る海水の音を聞いていた。

港はもう、すぐそこだった。
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