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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
逃走
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ずりずり引きずってきて、遥か下方のこちらに向けて放り出した。
無論、呆けて見ていたレンとユウキに受け止めるなどというアクションができるはずもなく、一瞬の間隙の後、大きく小型艇は揺れることになった。
一瞬で不安定になった足場にたたらを踏む少女と違い、全く動じない体幹の持ち主の少年は呆れの色を濃くした鼻息をぶふーっと噴き出した。
「あんなにたくさん…………何に使うのさ……」
「ま、まあまあ。ボク達だって、ポーションがいくらあっても足りないでしょ。アレとおんなじだよ……っとと」
ぐらりと来た横揺れに危なっかしく上体を揺らすユウキの身体をとっさに支える細い腕。ユウキは頬を真っ赤にさせて呟くように礼を言った。
「あ、ありがと……」
どーいたーましてー、という気の抜けた返事とほぼ同時、真っ黒な小型艇に梯子を下り終えたリラとミナが着地した。波風に風をなぶられながら、バックパックを小さな船倉に半ば強引にブチ込んだ少女達は、ぱんぱんと手を汚れを払う。
「首尾は?」
「誰に訊いてんの?バッチシに決まってんじゃん!」
突き出されたグーサインを微笑みとともに受け取ったユウキは、肩掛けにしていたポシェットの中から例の鉄製卵を取り出した。
「はいこれ。なるべく振動は与えなかったから大丈夫だと思う」
「はいよ毎度」
「……ていうか普通に預けられたんだけど、あそこから引き剥がして大丈夫なの?これ。エネルギーがどうこうって話じゃなかったっけ?」
確か生み出すにも維持するにも莫大なエネルギーが必要とかで。
首を傾けるユウキに、しかし得意げにない胸を反らすリラ。
「ふっふーん、そこはそれ。あたしを舐めんじゃないわよ〜。この中の反物質そのものからエネルギーを抽出して保存維持に回したのよ。このタマゴの中身は現在進行形でだんだん消えていってるってワケ」
「で、でもリラちゃあん。いいのかなぁ、キーアイテムにそんな細工をしちゃって……」
「これっくらいしかコイツを床からひっぺがす方法が思いつかなかったんだからしょうがないじゃない。必要な犠牲よ、必要な」
心配そうに手をすり合わせるミナの弱気な発言を一笑するリラ。
この場合、不安という名の警戒を現す心配性が吉か、それを歯牙にもかけないほどの楽観主義が吉か。ひどく悩む点だった。
そんな一行を尻目に、船底の横っ腹からバフンと大きな爆煙が顔を出した。もう元凶を取り除いたので新たな爆発は起こりえないはずなので、爆炎をもととした火災が起こっているのかもしれない。
「あーぁー…………このままじゃ巻き添え食らうわね。さっさと帰りましょ。ミナ、運転お願い」
「あ、うん」
「え?ミナって運転できるの?」
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