彼の為の優しい鎖
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春蘭と秋蘭を失えば倒せるかもしれない。逆に言えば、そうしなければ勝てない程にアレは人の枠に収っていない。だから別枠として考えるべきで、比べること自体が間違い。状況で縛り上げ、心理的な手を幾重も打ち込み、尚且つある程度打ち合えなければ勝つことは出来ない。
言い換えれば、それ相手に時間稼ぎが出来る存在など、親衛隊と徐晃隊を全て並べるに等しい価値があるということ。大陸で指折りに有能で強い部隊二つ分と釣り合う程の価値が、春蘭個人にはあるのだ。
戦の度に化けて行く彼女は、いつも私を楽しませてくれる最愛の右腕に相違ない。
部隊を扱えば霞の方に分がある……が、それはあくまで戦の話。
戦略級で言えば秋斗と秋蘭が抜きんでている。戦術級で言えば霞と明が。春蘭は……真っ直ぐに私の為になることをしてくれるだけ。
――彼女が肩に背負っているモノの重さは、そのまま彼女の力になる。
奇しくも春蘭が今の秋斗といがみ合うのも、黒麒麟のことを認めていたのも、本能的に私の想いと同等のモノを嗅ぎ取ったから……きっとそういうこと。
だから軍内で春蘭と競い合いをするには、私を追い掛ける秋斗でなければ足り得ない。
――今は、まだ……ね。秋蘭と霞も、秋斗の影響で大きく変わって来ているのだから、いつかは春蘭程の強さを持てる。それぞれに特色があるから強さの基準は測りにくいけれど。
本当にいい関係だ。この四人はまだまだ強くなる。
将軍として、否……五人の大将軍として、かしら。
話を聞きながら思考に耽っていた。
丁度、季衣と流琉が春蘭と秋蘭、そして秋斗の関係性で疑問を浮かべていたから、こんなことを考えてしまった。
「でもでも春蘭様ぁ。ボクは前の兄ちゃんよりも今の方が好きだよ?」
「ぐ……な、何故だ季衣」
「うーん……あ! あの時の兄ちゃんって怖かったんだよね。優しく話してるのに冷たくて、笑ってるのに泣いてるみたいで、なんていうかその、ほら……だめだぁ! わかんないや!」
「多分な季衣。それは黒麒麟が我らに距離を持っていたからだ。あいつはいつか倒す敵としてしか私や姉者のことを見ていなかったから」
「む……そう言えばそうだな。まあ、変な奴なのは変わらんが……何処となく距離はあった。だがな季衣! こいつみたいにふてぶてしい方がダメだ! あの時のあいつはまだ華琳様に敬意を払っていたんだぞ!?」
「くく、上っ面だけだったが……確かに今の徐晃よりは敬意を持っていたかもしれん。倒すべき敵としてのモノがいいのか悪いのかは分からんがな」
「結局お前は華琳が一番なだけじゃねぇか」
「そうだ! それのどこが悪い! 言ってみろ!」
「ガキかお前は! ああ、そういえばガキだったっけ」
「なんだとぉ!? お前の方がガキだろう!」
「立ち上が
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