彼の為の優しい鎖
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黒麒麟を別人として捉えるのを止めろと言っても、あなたは聞かないんでしょう?
戻った時に今昔の彼が交じり合うことを望んでいる華琳ではあるが、自分もこの二人を同一でありながら相似と認識しているから何も言えない。
そも、彼が引いている矜持の線引きは好ましい部類のモノだ。どうせなら自分に言えば投資くらいしたというのに、手続きや資金管理や資金繰りの仕事を増やさないように個人で終わらせる辺りが彼らしいと言える。
仕事のやり方は申し分ない。言われたことをするだけでなく、自分の身にあった案件の処理を判別し、何が利になるかを己自身で判断して行う秋斗のやり方は、華琳が他者に求めるやり方の理想像に他ならない。
現代の会社であればしがらみが多すぎて出来なかった投資であっても、信頼と信用を置いて好きにしろと任せてくれる華琳の元で行えるために、秋斗にとっても最良の関係と言えた。
「まあいいわ……報告を書簡にして提出なさい。どうせあなたのことだから面白いことを考えているのは分かってるわよ。袁家を失った豪族達にばらまく餌は多い方がいい。国の名を改めるに当たって新しい特色も取り入れたいから装飾品で何が出来るかも提案して貰いましょうか。“ぱん”の普及と“労働宿舎”の建設、“学校”の試行と“はろぉわぁく”の設立は同時進行で行くわよ。それに合わせる」
「軌道に乗ってからにしようと思ってたんだが……相変わらずお早い読みと決断なことで」
三人が付けている可愛らしい華の首飾りは、贈り物の話だけではないのだ。
一枚噛ませろという華琳は心底楽しそうに笑う。彼がすることは大抵面白いモノだ。
多岐に亘る仕事の数々は今も尚進んでいる。いくら乱世といえど、人の暮らすこの地をより良くしないわけが無く、戦にばかり感けているわけにもいかない。
「ふふ……とりあえずこれくらいで。これから宴なのだから、仕事の話はやめとしましょう」
「クク、とか言っても俺とお前さんだったら仕事の話もしちまうんだけどな」
「あら? 仕事の話しか出来ないようなつまらない男なの?」
「“話も”って言っただろが。お前さんが面白がりそうな話なんていくらでもあるんだ―――――」
「華琳様っ! 隣いいですかっ」
「華琳様ぁーっ! お隣失礼しますっ!」
話し込みそうになった二人の元に、元気よく声を掛けたのは季衣であった。
それとは別に、桂花とのいがみ合いに勝ったらしい春蘭も華琳の隣に座る。
「に、兄様、お隣よろしいでしょうか?」
「徐晃、隣に座らせて貰うぞ」
同じ時機で、彼の隣に流琉と秋蘭が声を掛けた。
「ええ、いいわよ」
「構わんよ。一人で華琳の相手はさすがにめんどくさい」
「……どういう意味で?」
「はは、こういう意味でだ」
「徐晃、貴様ぁ……ただでさえ
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