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乱世の確率事象改変
彼の為の優しい鎖
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ら、春蘭。あなたが秋斗に何か一つ好きな命令が出来る権利をあげましょう。それで許して上げなさい?」
「おまっ、それは――」
「もう一つ罰を増やされたいのかしら?」

 やはり彼では、華琳に勝てなかった。
 計画通り、と彼女は笑みを深める。戦術では勝利しても最終的には華琳の勝ちであった。

――敵わねぇなぁ、ほんと。

 苦笑を一つ。このどうしようもない悪戯好きな覇王に、彼は降参と手を上げた。

「春蘭、すまんかったな。とりあえず飲み直そう」
「……うるしゃい」
「こんな楽しい夜だ。泊まるってんなら後で枕投げもしよう」
「……まくら投げ?」
「ああ、枕を投げてぶつける遊びだ。大人数が泊まりで遊ぶ時、寝る前にやる合戦遊びなんだ」
「へぇ……いいわね、それ」
「クク、せっかくなんだろ? なら俺は本気で遊び倒す。その為に、ほら、酒で気分を上げよう」
「……きしゃまには負けんからなっ!」

 合戦と聞いてか、それとも遊びたかったのか、漸く少しだけ気分が上がった春蘭は、秋斗が差し出した杯を手に取った。

「ほら、華琳も飲もう。お前さんも酔っちまえ」
「酔った程度で私に勝てるとは思わないことね、秋斗」
「威勢のいいこって。秋蘭、霞、お前らも来いよ。季衣と流琉もちぃとだけならいいさ、飲め飲め!」
「軽い酒やったら大丈夫やろ、ほい、これ」
「わぁ! ボクも飲んでいいの!?」
「あんまり多くはダメよ、季衣!」
「分かってるって!」
「おっしゃぁ! 飲むでぇ!」
「ふふ……霞、今度は程々に頼むぞ。まだ潰れたくない」
「にしし、意識あるうちは大丈夫やて!」

 真ん中の机で、盃が幾多の音を上げた。
 グイと飲み干す彼女達と同じように、秋斗は大盃を傾ける。
 楽しい夜だ。まだまだ楽しもう、と。

「せっかくだし役満姉妹も呼んで来ましょう。店長もそろそろ終わってもいい頃合いじゃないかしら?」
「ああ、確かに。じゃあ……」
「あんたは行くな! 時間稼ぎはさせへんでぇ! 朔夜ーっ! 店長と役満姉妹呼んで来てやー!」

 酒宴はまだまだ中頃。
 騒ぐだけ騒いで、今この時を心に刻む。
 笑顔が溢れていた。声に溢れていた。悲哀は其処には無かった。
 生きている事に感謝を。生かしてくれたことに感謝を。戦ってくれた者達に感謝して、彼女達はこうして明日を繋ぐ。

 昔よりも華やかな、心よりの笑顔を浮かべながら……華琳は内心でぽつりと呟いた。

――バカばっかり。こうなったのはあなたのせいよ。

 思いながらも苛立ちは無い。楽しかったから、嬉しかったから、そして何より、笑顔の華を咲かせる皆が愛おしかったから。

――私の軍を変えた責任は取って貰うわ。逃げることも消えることも裏切ることも、絶対に許さないん
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