彼の為の優しい鎖
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! 秋斗のばぁかっ!」
精神的に幼くなってしまう春蘭は、酔えば驚くほど素直になるのだ。
「ほら、春蘭。泣かないの。そうよね、あなたが一番楽しみにしてたモノね」
「うぅ……華琳しゃまぁ……」
あーあ、と誰かが声を漏らした。小学生の男子が女子を泣かせたような空気が出来上がる。
彼にはどうしようも無い。華琳に抱きついた春蘭の頭を撫でる霞が、呆れたように口を開く。
「ほんまあんたって……あれやよなぁ」
「……うっせ」
「で? どうするん? 帰るん?」
「ちくしょう……ああもうっ……そりゃあ嬉しいよ! だってお前さんらみたいな友達と夜通しはしゃげるのが嬉しくないわけねぇだろ! もう帰るなんて言わねぇから泣くな春蘭!」
「だまればかっ! お前なんか店長や徐晃隊といちゃついていればいいんだっ! 男まみれの中がいいんだろう! そうなんだろう!? 徐晃隊を誘って大部屋ででも寝てればいいんだ!」
ぶふっと噴き出す声が幾多。頬を染めるモノが数人。子供のようなやり取りににやけるモノが多数。
春蘭の言葉に彼はがっくりと項垂れ、乾いた笑いを漏らしてから……大きなため息を吐いた。
「なんで好き好んで男だらけの汗臭い中で寝なくちゃならんのだ……」
「くっくっ……秋斗、お前が悪い」
捩れそうな腹を抑えながら、秋蘭は秋斗の肩を一つ叩く。
「秋斗殿と店長がくんずほぐれつ……いやそれよりも、女だらけになるなら私達は華琳様と――――ぶはっ」
「ちょっと稟! ダメっ!」
「おおー、さすが桂花ちゃん。華琳様に被害が出ないようにならそんなに速く動けるんですねー」
「あわわ……でも稟さんの服が、ま、ま、真っ赤です。桂花さんの手も……」
「はい、御手拭き。まったく、むっつりも行きすぎたらこうなるのね」
軍師達は一人の妄想少女によって異質な場へと変化した。それでも気に留めない辺り慣れているのだが。
「兄やんは女の気持ちに気付かへんにぶちんやから……まあ、しゃあないか」
「二人とも素直じゃないだけなの。春蘭様ももう少し徐晃さんに伝えたらいいのに」
「いや、それは無理だと思う。だって徐晃殿はあんなだし」
あー、と納得の様子の三羽烏は、意地っ張りな二人を呆れて眺めていた。
「秋兄様のてんちょーの絡みを邪魔するわけには……でも一緒に寝たい……ぅぁ……どうすれば」
「だ、大丈夫じゃないかな? だって彼は……でも店長さんとの絡み……かぁ」
朔夜に毒されて、乙女の妄想を広げていく月。寸での所でフルフルと首を振って、頬を染めながら彼を見つめた。
皆がそれぞれ話す中、秋斗と春蘭は喧嘩の中心。止められるモノは、一人だけ。
「秋斗は春蘭に貸し一つ。いいわね?」
「ぐ……ああ、分かった」
「ほ
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