彼の為の優しい鎖
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るな! 暴れるな! 店長が来たらどうすんだよ!?」
「春蘭様ダメですっ! お食事中ですよ!」
「る、流琉までっ……くぅ〜……後で覚えておけよ?」
「まじかー、俺バカだから忘れたわー。妙才は何か聞いてたかね?」
「ああ、ばっちりだ。喧嘩する姉者と徐晃が食事の場を乱していた。店長にしっかりと報告しておこう」
「しゅ、秋蘭!?」
「け、喧嘩両成敗……だと……?」
「ふふ、姉者も徐晃もどっちも悪い。さあ、報告されるのが嫌なら酒を飲むのがいいと思うぞ。流琉、季衣、注いでやってくれ」
「あいあいさー♪ 春蘭様どうぞー♪」
「に、兄様もどうぞ……」
「おっと、ありがと流琉。しっかし飲ませるの上手いな秋蘭。気分よく飲めるよ」
「何を言ってる? お前は姉者をバカにしたから三杯だぞ。また先に酔うのも癪だから、くく、早く酔うがいい」
「お前もガキか!」
「おい徐晃! 静かに飲め!」
「春蘭にだけは言われたくねぇよ!?」
真面目な話が直ぐに砕ける。砕けた後にまた真面目な話に変わる。こんなことばかり繰り返して、私も思わず呆れのため息を漏らしてばかり。
なんというか……秋斗を体現してるような流れだ。コレを狙ってやってるなら大したモノだけど……さすがにそれは無いらしい。
悪くない。いい気分だ。愛しいモノ達の他愛ない平穏も極上の肴。酒がいつもよりおいしく感じる。
店長の言うことは正しい。
料理とは和。この空間こそおいしい料理で、私の空腹を満たすに足る。
じっくりと楽しんでいると、黙って話を聞いていた私に測るような視線を向けて、秋斗は情けなく聞こえるような声を出した。
「なぁ、なんか言ってやってくれよ華琳」
「そうね……霞ほどでないにしてもお酒に強いんでしょう? 甘んじて罰を受けて飲みなさい」
「うへぁ、敵しかいねぇ……ま、此処で逃げたら男がすたるってことで……大盃で行ってやらぁ! 流琉、注いでくれ!」
「兄様っ、無理は――――」
「酒は飲めども呑まれるな、だ。自分の配分くらい分かってるさ。ってか掛かって来いよ春蘭、秋蘭。のんびりと見るだけか? 覇王の両腕っても大したことねぇなぁ、せっかく華琳の前で飲んでるってのに俺程度に……クク、無様だ」
「お前……季衣、注いでくれ」
「こっちもだ! 調子になるなよっ」
相変わらずただでは転ばない。春蘭と秋蘭に対してはその挑発は十分に機能する。
計算通りと言うように、秋斗は一瞬だけ私の目を見た。
他愛ないやり取りだが、これでいい。場の掌握は上手くとも、相変わらず私に対しては弱いわね秋斗。
それは読み筋。死中に活路を見出すあなたの遣り方は熟知してる。春蘭と秋蘭を巻き込んでも、自分は酔わないようにするつもりに違いない。
まあ、久しぶりに酔ったこの子達が見た
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