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とある星の力を使いし者
第156話
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貫いているバルドの腕と顔を交互に見つめる。
口の端から血が流れていく。

「ば、ばる、ど・・さ・・・・ま・・・?」

最後までどうしてこうなったのか分からないまま、ブリジットの身体は貫いた胸を中心に徐々に石になっていく。
数秒で全身が石になり、バルズは腕を引き抜く。
それと同時にブリジットの身体は粉々に砕け散った。
それを麻生は唖然と見つめていた。
助けるのかと思っていたが、実際は全くの逆だった。
その光景を見ていた麻生にバルドは話しかける。

「星の守護者に負けたのだ。
 既にこの男は死んでいるのだよ。
 その男が生きていることなど許されない。」

カーナックの書を少しだけ読みながら麻生に近づく。

「私の部下は多忙でな。
 なので、私自身が向かう事になった。」

カーナックの書は虚空へ消える。
麻生に近づいて手を伸ばしてくる。
先程の違いと言えば、麻生の顔を掴もうとしているという所だ。
その時、パン!!という発砲音が聞こえた。
この状況で発砲音など一つしかない。
バルドはほんの少しだけ視線を奥に向ける。
肩に杭の刺さった愛穂が何かに耐えながらハンドガンをこちらに向けていた。




声すら上げる事ができなかった。
ただ呆然と見る事しかできなかった。
制理は化け物に追いかけられていたがあの時はまだ動く事ができた。
行動に移す事ができた。
でも、今は違う。
バルドの姿を視界に入れるだけで身体が鈍くなる。
呼吸が荒くなる。
胸を圧迫する重圧。
さっきまでのとは比較にならなかった。
それは桔梗も同じだ。
麻生の胸に杭が刺さった時も声をあげる事すらできなかった。
何も出来ないでいた。
そんな時、傍にいる愛穂だけは違った。
杭を肩に受けて感覚が麻痺しているからなのか。
左腕を動かしハンドガンのグリップを握る。
視界に入れるだけで言い様のない恐怖が愛穂を襲うが、それでも指を動かし引き金を引く。
理由は簡単だ。
目の前にいる最愛の男が自分よりも怪我をしていて、それでも自分達を守ろうとしている。
彼が必死に頑張っているのに、自分だけが痛みに苦しんで何もしない訳にはいかなかった。
銃弾はバルドの眉毛辺りに当たった。
当たった筈なのに傷一つない。
たかがハンドガン一つで傷を負わす事など出来ないと思っていた。
彼女の目的は少しでも注意を逸らす事だった。
バルドの視線が愛穂に少しだけ移る。
眼と眼が合う。
呼吸が止まりそうになるがそのすぐ傍に麻生がいる。
それを思っただけで何とか気力でその視線と向かい合う。
手が震えている。
それでも銃口はバルドをしっかりと捉えていた。

「一本とはいえ呪縛と浸食の中でよく狙える。
 下等生物だが称賛に値するぞ。
 私と
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