序説
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五十年前。世界を大きく変える出来事があった。
既に魔法科学文明が根付いていた世界で、不特定多数の人物が、身に覚えのない記憶を取り戻すと共に何らかの特殊な能力に目覚める、と言う事例が、同時多発的に観測されたのである。その形式と容貌は千差万別。共通点の一切ない記憶から、同じような能力に目覚める者もいれば、そっくりな記憶を取り戻すと同時に、全く違う能力を手に入れる者まで。
例えばある者は、会ったこともない《親友》の記憶と共に、他人の心を流星群のようにして攻撃する力を。
またある者は、半身とも呼べる人々の記憶と共に、どれだけ苦しい状況からも『進化』して勝利してしまう力を。
またある者は、人外と争う世界の記憶と共に、取り込んだものを新たな存在に変化させて放出する力と、ついでに異様な空腹感を。
後に《超越回帰》と呼ばれる事になるこれらの現象は、場合によっては、なんとその『身に覚えのない記憶』と全く同じ光景を、現実にその担い手に歩ませる事もあった。例えば、白の二刀を振るって魔王を倒す記憶と共に、結果に抗う《革命》の力を手に入れた一人の少年は、その記憶の通りに一人の魔王と争い、勝利した。
この力は、己の『運命』から出来ている。
いつしか、誰かがそんなことを言い始めた。
《超越回帰》の力は体系付けされ始め、世界中で無数に覚醒を続ける運命の担い手たちは、それらに沿って己の力を見極め、そして活用する。
しかし中には、膨大なまでの力に溺れ、世界にはむかおうという者達も存在した。当然だ。あれ程の力があるのであれば、自身が世界を支配しようと、誰もが一度は考えるだろう。
かくして、一般市民をも巻き込んだ、担い手同士の争いが始まる。特に強力だったのは、光り輝く剣を携えた青年と、黄金の髪の毛の少女。彼らを中心として集まった軍団が、瞬く間に他の担い手たちを制覇し、世界を支配していく。
しかし、そんな動乱の時代に幕を下ろす出来事が、そう長くないうちに起こった。
空から、文字通り『神々が降臨』したのである。
ある者は、遍く全てを停止させる女神。
ある者は、全てを阻む神の盾。
ある者は、神の雷を操る人狼。
ある者は、無明の闇を操る翼刃。
ある者は、救いを願う仮面の戦士。
ある者は、あらゆる存在を断ち切る剣の女神。
ある者は、言葉で世界を動かす者で、
またある者は、嘘と真を司る、光と闇を束ねた帝王。
後に、その戦いに参加した者達に、『絶望的』と形容される、圧倒的な戦闘力。神々は裁きを人類へと下し、そして天へと帰っていった。
青年と少女だけでなく、この戦い
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