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【銀桜】7.陰陽師篇
第3話「嵐ニモ負ケズ」
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たちを全て倒すまでに至った。
 結野アナが降板になっても結野家が滅亡しようとも雨は止まない、と道満は言う。
 彼の憎悪は結野兄妹を亡き者にしても消えることはないだろう。それほど心に刻まれた怨みは深いのだから。
 千年以上続く結野家と巳厘野家の深き因縁。そこに一人の女性を巡る争いも加わった糸は複雑に絡み合い、容易くとけることはない。
 もうお天気アナ降板どころの問題ではないのだ。
 呪法にやられた陰陽師たちが寝こむ結野衆の屋敷に、雨音だけが鳴り響く。
 廊下の壁に背中を預けて双葉が雨を眺めていると、外道丸が歩いてきた。
「天気アナはこの事を知っているのか」
 人の姿をかたどった式神とすれ違いざまに双葉が問う。
「いいえ。あっしが情報をシャットアウトしたでござんすから、クリステル様は何も存じません。この 騒ぎを知れば事をおさめようと、クリステル様はまた道満のもとへ行こうとするでござんす」
「仕える一族がどうなってもいいのか」
「あっしは両家の争いなど正直どうでもようござんす。あっしを調伏しこき使う結野家など潰れても一向にかまいやせん。でも……」
 少し俯いて、外道丸は呟くように言葉を紡いだ。
「クリステル様が笑わなくなるのは、もう御免でござんす」
「外道のくせに主人に気を遣うんだな」
 切実にこぼした本心に返ってきたのは、皮肉の一言。
 確かに、と外道丸は内心で己を自嘲する。
 この世に生誕した時から悪行の限りを尽くしてきた。仲間を裏切り、飼い主の手を噛み千切るなど当然。周囲からはいつも非情だと冷たい目で見られ、近づく者は誰一人いなかった。
 だがそうして世間から罵倒を浴び、孤高に生きることこそが『外道』なのだ。
 だから主が殺されようと、外道を極めし邪神(おに)が思う事は微塵もない。
 ゆえに道を外れた者が主を気遣うなど、道理のかなった事をするのはまさに滑稽だろう。
 けれど――
「クリステル様はあっしが仕えた陰陽師の中で、あっしを使い魔ではなくご友人としてみてくれた唯一のお方でござんすから」
 式神となったあの日から容赦なく身を削られ、ぞんざいに扱われてきた。戦いで大怪我をすれば治療してくれるものの、それはまた使えるようにさせるため。決して自分の身を案じてではない。
 隙あらば陰陽師たちを撲殺して何度も逃亡を謀った。だが強力な術を操る彼らに到底敵うはずもなく、式神の鎖を絶てなかった。
 時代とともに主が変わっても、自分の立場は変わらない。
 どいつもこいつも『道具』としか見ない。
 でも……あの方は違った。

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 新たな主となったクリステルが最初に見せてくれたのは、天真爛漫な笑顔。
 深手を負えばクリステルは丁寧に傷を癒してくれた。
 戦いを終えれば気軽にお茶に誘っ
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