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【銀桜】7.陰陽師篇
第3話「嵐ニモ負ケズ」
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形だけ仲良く隣に並んだ屋敷と、さらに深く広がった両家の溝。
 平和のために築いた協定は、同じ過ちを二度と繰り返さないために結野アナを護ろうとする結野家と、彼らを激しく恨む巳厘野家との激しい戦い――『呪法合戦お天気戦争』へと変わってしまった。
 そうして空中で激しくぶつかり合う二つの光の柱。
 だが結野家から噴き出る青白い光柱は、深紅の光柱に若干押されていた。
「晴明様ァ。このままではァァ」
「抜かるな!なんとしても必ず天気を晴れにするんだ!!怯むことはない!今日は一人加勢がおるぞ!!」
 弱腰な部下を一喝して、晴明は銀時を見る。
「あの男、腑抜けた眼をしておるが強大な霊力を宿しておる。あの力をもってすればこちらが優勢じゃ。皆あの男につづけェェ!」
 実はかなり強い霊感を持っている銀時。その力は幽霊(スタンド)に憑依されても意識を保ち、逆に思うままに操るほど。かつて幽霊温泉旅館を手玉にとっていた女将と互角に戦ったこともある。
 人は誰しも霊感を持っているが、普通の人間は気づかず扱う事も出来ない。苦しい修行を積んだ陰陽師達だけが、己の霊感を霊力に変えて術を扱える。その威力は霊感に比例する為、当然強力な霊感を持つ者は強大な霊力を得るのだ。
 霊感など幽霊嫌いの銀時にとってハタ迷惑な力だったが、思わぬところで役立つ結果になった。
 だがそんな事実があろうがなかろうが、銀時には関係ない。ただ彼はひたすら天へ叫ぶのみ。
 熱き想いを情熱の声に変えて。
 そのたびに結野家側の霊力は増し、対する光柱を追い返しつつあった。
 ところが――
“バコッ”
 どこからともなく飛んできた壺が銀時に直撃。撃沈させた。
 何事かと壺が投げ出された方を見ると、腕組みしてムスッと立つ双葉がいた。
 銀時が倒れたと同時に一気に弱体化した青白い光柱。深紅の光柱に押し返され、そのまま結野家の庭に激突。その衝撃で結野衆の陰陽師たちは次々と倒れていった。
 そして一粒の滴が落ち、やがていくつもの水滴が地面を叩く。
「降ってきたな」
 灰色の空から降り注ぐ雨を見据えながら双葉は呟いた。
「『降ってきたな』って、トドメ刺したの双葉さんですよね」
 遠くから新八のツッコミが入るが、彼女から返事はない。
 どこか憂鬱そうに雨を見つめるだけ。
 まるで暗く埋もれた遠い日を見るかのように。

* * *

 結野アナのお天気予報を妨害して降板にまで追いこんだ犯人は、巳厘野衆頭目・巳厘野道満であった。
 道満は結野アナの夫であったが、彼女からは一度も心を開かれてもらえなかった。挙句の果てに晴明には無理矢理妻を奪われ、それにより彼は結野兄妹を激しく憎む黒き陰陽師へと変わってしまった。
 憎悪の念か、道満は晴明をも上回る霊力を手にし、ついに結野衆の陰陽師
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