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【銀桜】7.陰陽師篇
第3話「嵐ニモ負ケズ」
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が「晴れ」と告げた途端に始まったのは、一族総出の快晴祈願大合唱(オンパレード)
「…………」
 空へ高々と腕を伸ばして必死に祈願する結野アナ応援団。
 もとい暑苦しいおっさん達を白けた目で眺めて、新八と神楽は思う。
 結野衆(ここ)へ来たのは、今回の犯人を突き止めるため。
 だが予想していた犯人・結野晴明は、邪魔するどころか一族上げて妹を応援していた。
 俗に言うシスコンの類だろう。しかし彼の熱意は妹萌えどころか、妹を燃やしそうな勢いである。
 また結野衆が必死に祈祷する中には、ちゃっかり銀時も混ざっていたりする。
 陰陽師たちに負けない、いやそれ以上の情熱で天に手を伸ばし応援する姿は、結野衆にありえないくらい自然に溶けこんでいた。
 銀時も混ざった快晴祈願集団は、奇怪も妖気もない陰陽道からかけ離れたただのむさ苦しい光景にしか見えない。
「こんなことして本当に意味があるんですか……」
 新八はぐったり肩を落とした。
 だが、彼の疑問は一気に弾かれる。
 突如、塀を越えた隣の屋敷から深紅の光の柱が噴き上がった。
「負けるな者どもォォ!奴等の呪法を打ち消してやれェェ!!」
 晴明が部下達を奮起させると、陰陽師たちの身体から霊気がみなぎり、やがて青白い光の柱となって雲に埋もれた空へと打ち上がった。
 相反する二つの光は押し合うように互いに激しくぶつかり合い、日のない空に壮大な火花を散らせる。
「なんなんですかアレ!むこうの屋敷から出てるあの光は一体誰が!?」
「巳厘野家でござんす」
 驚愕に目を見開く新八に、外道丸が淡々と答えた。
 結野家と双璧をなす陰陽師一族・巳厘野家。
 二つの両家は平安時代より互いに熾烈な権力争いを繰り広げ続けてきた犬猿の仲であり、時代と共に栄枯繁栄を繰り返してきた。
 しかしおよそ千年にも渡る争いに終止符を打とうと、結野衆頭目の結野晴明は平和協定を切り出し、それに巳厘野衆頭目はある条件を出すことで許諾した。
 その条件とは、晴明の実妹・結野クリステルを嫁にもらうこと。
 結野衆を離れて天気予報に陰陽道を遣い、尚且つお天気アナとして人気を博していた結野アナ。それを苦々しく思っていた晴明は、彼女を自分たちの元へ戻すいい機会だと素直に快諾した。
 結野アナもまた両家の平和のためになら、とすすんで巳厘野家に嫁いだ。
 だが偽りの心で交わされた平和は、新たな悲劇を生みだすだけでしかなかった。
 当然、結野アナは嫁入りした為にお天気アナを辞めさせられた。生きがいを失くし、空ばかり眺めていた彼女は日々やせ衰えていった。
 そんな妹の有様を見た晴明は己の過ちに気づいた。彼は自ら立ち上げた平和協定を捨て、結野アナを巳厘野家から連れ戻し、お天気アナへと復帰させた。
 しかしそれによって後に残ったのは
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