30話:ご自由にお持ちください
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G-5エリアにある木で出来た小さな小屋の中。
伊園美和はバトルロワイアル開始時点はそこにいた。
「‥‥‥飛んでる飛行機の中にいた人間を、こうも簡単に誘拐できるなんてね」
美和は主催達の持つ技術に呆れるような発言をしたが、内心ではそんなことはどうでもよかった。
伊園磨知。
転送される前、あの会場で殺し合いの始まりを告げ、そして一人の男を爆殺した人物。
そして、美和の姉だ。
ハイジャックなんかやってた自分が言えたことではないが、正直磨知があんな事をするなんて信じられない。そんな人間には見えなかったのに。
「雨宮くんや、弖虎ならなにか知ってるかもしれない」
名簿を見て呟く。
自分が生き残ることはほとんど諦めているが、姉を問いただすことぐらいはしたかった。
次は支給品の確認をしようと思い、デイパックの蓋を開ける。
すると、勢いよくでかい金管楽器が出てきた。
「うわ」
少しびっくりした。
そして殺し合いにおいてまったく役に立たないそれを見て呆れたように呟く。
「こんなんどう使えって言うのよ」
両手でその楽器、種類的にはコントラファゴットというのだがそれを美和は知る由もない、を掴んでその重さに悪態をつきながら小屋の中にあるそう大きくはないテーブルに少々乱暴に置く。
そして残りの支給品を見た。
刀と、宝石みたいなものがある。
まあ当たりの方だろう。
そしてコントラファゴットを放置し、美和は小屋から出ていった。
【伊園美和@多重人格探偵サイコ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:支給品一式、古青江@School Days、飛行石@ニコニコ動画
[思考・状況]
基本思考:特にやりたいことは無い
1:磨知のことは知りたい
2:死ぬ前に雨宮くんには会っておきたい
3:コントラファゴットは置いていく
◆
美和が出ていってから二時間後。
苗木誠を殺害した折原臨也はこの小屋に立ち寄った。
とりあえず身を隠して食事を摂ろうと思ったのだ。
入って最初に抱いた感想は勿論、なんでこんなところにコントラファゴットが置いてあるんだろうねえ、だった。
見た感じ特になにか仕掛けられている訳でも無さそうなのでそのまま座り込んで苗木のデイパックを開ける。
と同時に中から人間が出てきた。
「うわあっ!?」
流石の臨也も肝を冷やした。
まだ身体のほとんどはデイパックに、どうなっているのかわからないが入っている。
恐る恐る出てきた人間の顔を確認すると、その人間と目があった。顔は白く塗ってあり、丸眼鏡をかけている。
そして、喋りだした。
「餃子いらんかあー」
その声は、どうも機械的だった。
「‥‥は?」
放心し
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