八話:雷光
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るから手短に話すとな……分史世界の消去を願った後に俺が百万個目の時歪の因子となって進行中の時歪の因子化を解除したんだ」
その答えにヴィクトルは思わず唸り声を上げてしまう。本来であれば時歪の因子の上限値に達した場合は人間の敗北となり人間は滅亡するのだが、審判を越え、願いを叶えた後であれば別だ。後一つで人間の敗北という状況を逆手に取り全てを救って見せた英雄。
どちらか一つしか選ぶことのできなかった自分とは違いルドガーは両方を掴み取ってみせたのだ……その命を使って。それを知った彼の胸に後悔の念が襲い掛かって来る。自分も探せば娘と仲間達、両方を救う方法があったのではないかと思わずにはいられなかった。
「そう…か。やはり、お前と私は違う人間なのだな……ふふふ、一度死んでから気づくというのも滑稽だな」
「ヴィクトル……」
どこか寂しげに笑うヴィクトルにルドガーは何と言えばいいのか分からずに黙ってその姿を見つめる事しか出来なかった。
「まあ、終わったことをいつまでも考えていても仕方がない。今の私はフェイトとの約束を果たすだけだ」
「……それが今のお前の望みなのか?」
「ああ、それ以上は何も望まない」
自分と同じエメラルド色の瞳に籠った強い意志にルドガーはヴィクトルの願いは嘘偽りの無い物だと感じ取り、出来るだけ力になりたいと考える。かつて自分を殺すためにアイボーを利用したような男だが、それでもお人好しであるルドガーは素直に助けたいと思えた。
「さて、話が逸れたな。改めて私達がなぜこの世界にいるかを考えるとしよう。世界を越える……つまり時空を制し、死者をも蘇らせる力を持つ者がいるとすれば私は一人しか思い浮かばない」
「ああ、俺もそんな気はしていたんだ。俺達を生き返らせた存在があるとすれば、そいつは―――」
『無を司る大精霊オリジン』
二人の声が重なる。やはり、そう思うかと二人して顔を見合わせる。今回の件の黒幕はオリジンである可能性が高いと二人は考えていた。ヴィクトルは直接オリジンに会ったことは無いが人間をこうも容易く弄べるのは精霊ぐらいなものだろうと半ば憎悪にも似た感情から考えていた。
一方のルドガーは自分が一つでも苦労して壊してきた時歪の因子を目の前で百万にも及ぶ馬鹿げた数を一瞬で消去してしまった姿を見ていたのでオリジンなら出来ても全く違和感がないと考えていた。
「やっぱり、そうなるよな―――ん? なのはから電話か」
話している最中に突如として鳴り響いた携帯を取り相手が誰かを確認し、なのはということが分かると顔つきを真剣な物に変えるルドガー。因みにだが、ルドガーが持つ携帯はエルのクルス
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