八話:雷光
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ジュエルシードを得られる確率は下がる。それにも関わらず、魔導士を向かわせるのはフェイトの身の安全を何よりも重視しているからに他ならない。何とも心優しい理由だ。だが、その反面で地域住民を丸ごと人質に取るような冷酷な発言もちらつかせた。
魔導士を送るか、結界を張るか、などと分けて言ってはいるが要はフェイトが一人で出来なさそうな場合はジュエルシードの封印を手伝う人員を遅れと言っているのだ。漁夫の利は許さない。それをするようなら地域住民に被害を及ぼす。こちらが結界を張ってしまえば被害の可能性はなくなるだろうが、相手が連絡を取り合っていればこちらがそれをする前に結界を解いてあの魔力の嵐を解き放つかもしれない。
一度解き放たれてしまえば再び全てを閉じ込めるのは至難の業と言うしかないだろう。こちらが公の機関である以上は間違っても被害を出すわけにはいかず、この世界に魔法の正体を明かすリスクを犯すわけにもいかない。だが、大人しく封印に協力すれば被害が出ることもなく、リスクも犯す必要もない。
さらにジュエルシードの回収と共に二人の確保も確率は下がるが行えるかもしれない。そんな最善の選択肢を彼は選ばそうとしているのだ。彼等にとって不利になる可能性もあるが、フェイトとアルフが傷つく可能性が最も低い選択であるが故に彼は選んだのだ。
「……そうですね。御忠告感謝します」
『では、私の方からはこれで以上だ』
一方的に話を終えた彼は呼び止める暇もなく消える様に姿を消してしまった。リンディはそのことに溜息を吐きながら通信を切るように指示を出してからなのはに向き直る。緊張した面持ちで自分を見つめるなのはに彼女は微笑みかけて指示を出す。
「高町なのは、ユーノ・スクライアの二名は今すぐ彼女の元に向かってください」
「はい!」
強い意志の籠った力強い返事に子供の成長を感じて知らず知らずの内に口元が緩んでしまうリンディだった。
「で、それだけじゃないんだろ? ヴィクトル」
「ああ、何故、この世界に私達が居るのかを話し合いたいと思ってな。ルドガー」
通信がなくなり、周りには自分達以外が存在しない事を確認したルドガーが振り向きざまにそう問いかけると、この場から消えたと思われていたヴィクトルが静かに姿を現す。ここからの話は他人に聞かれるわけにはいかないので一芝居打って姿を消したように見せかけていたのだ。
「そうだな……まず、俺達の共通点は同じ名前を持ち―――死んだことだな」
「……なぜ、お前が死んだのだ? いや、それ以前にどうやってエルを救ったのだ。エルの時歪の因子化の解除をオリジンにでも願ったか? だが、それだと全ての分史世界の消去はどうなったのだ」
「詳しく話すと長くな
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