八話:雷光
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そうなんだけどさ……」
ジュエルシードが沈んでいると思われる海上で、フェイトとアルフが話をしているがそこにはいつもの様な仲の良さは無い。プレシアの為に一刻も早くジュエルシードを回収したいフェイトは自身の身を顧みずに巨大な魔力流を放ち海の中にあるジュエルシードを強制発動させ、一気に封印しようという目論見を立てていた。
しかし、アルフは巨大な魔力流を放ち、さらにその後、荒れ狂うジュエルシードの暴走をかわしながら封印というほとんど不可能に近い計画に不安に抱いていたので何度も考え直すように言うがその度に他に方法があるのかと言い返されて返答に困っているのだった。
海の底にある以上は暴走させるしか道は無く、正確な位置も分からないので範囲を絞って一つずつ封印するという事も出来ない。万が一それが出来たとしても一つずつ封印していては十中八九、管理局がやってきて邪魔をしてくるだろう。残りのジュエルシードを一つでも多く手に入れるためにはフェイトの計画が最も理想的なのだ。
「でも今回はヴィクトルが来れないんだから、いつもよりも大変なんだよ」
アルフが言うように今回の計画にはヴィクトルはいない。というよりは、魔法もデバイスもない彼は空を飛ぶことが出来ないので参加したくとも参加出来ないのだ。ただ単に空中であればまだやりようはあるのだが、ここは海上の為に援護を行う事も出来ない。その為にヴィクトルは遠くの陸から二人の無事を祈ることしか出来ない。初めはヴィクトルもこの計画に反対していたのだがフェイトの強い意志を見て信じることにしたのである。
「……ヴィクトルさんにばっかり頼れないよ」
フェイトはポツリと呟きバルディッシュを握りしめる。彼女の脳裏に浮かぶのは十日前の事。『時の庭園』にヴィクトルを迎えに行った時に見た姿。蹲り苦しそうに咳き込みながら血を吐き出していた彼。すぐに助けに行こうとしたが彼女は彼の言葉を聞いてしまった、知ってしまったのだ。
自分を守る為に使った力、骸殻により彼が傷つき、寿命を縮めながらも自分との約束を守ろうとしていることを。衝撃の事実を知り茫然と佇む彼女にも気づかずに通り過ぎていったその姿に彼女は彼が傷ついていることが真実なのだと確信した。普段であればどんなに気を抜いていても自分の存在に気づいてくれるのだ。それなのに気づけなかったのはそれだけ彼に余裕がないという事に他がない。
「これ以上迷惑はかけない……」
「フェイト…?」
いぶかしがり自分を見つめるアルフにフェイトは首を振って何でもないと告げる。だが、彼女は心の中で決意していた。これ以上ヴィクトルを傷つけることはせずに自分だけの力でジュエルシードを手に入れて母に捧げるのだと。そして、全てが終わったら母とアルフとヴィクトルと共に穏やかな生活を送れ
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