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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第467話】
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いの事態、自分で収拾出来なければいつまでたっても姉から自立出来ないぞッ!!」

「……ッ!?」


 厳しい言葉に目尻に涙を浮かばせた簪――だが、それで発奮したのか、生きている機体のスラスターを点火、徐々に徐々にときりもみ状態を解除していく。

 ――だが、今度は機体の軌道が擦れ、中央タワー外壁に吸い込まれるように突き進む。

 流石にこれは不味いと思い、俺は並行するのを止めて直ぐ様簪の背後に回り込む。


「簪、サポートするからそっちでも減速頼む」

「……ぅ、ん……っ!」


 生きているスラスターを使い、機体を減速させる簪。

 タワー外壁にぶつからないようにサポートしながら、何とか減速する事に成功すると飛行出来ない簪をお姫様抱っこする形で安全に地上へと降り立った。

 降りるまでの間、俺も簪も互いに黙ったままで、俺自身もどう声をかけて良いのかがわからなかった。

 簪を降ろすや、ピットから飛び出してくる白い機体――一夏だ、目尻を釣り上げ、何やら怒っている様にも見える。

 地上に降りてきた一夏は、俺と簪の間に割り込むや胸ぐらをいきなり掴んできた。


「ヒルト! 何で直ぐに簪を助けてやらなかったんだ!? お前がもっと早く手助けしてやれば、簪だって怖い思いしなくてすんだんだぞッ!!」

「お……おりむら……くん……」

 胸ぐらを掴んだままの一夏、一夏自身の優しさからくる感情なのかもしれない――だが、事情を知らない一夏が割って入ってくるのはナンセンスだと思う。

 一方の簪は、一夏の名字を小さく呟き、何かヒーローを見るような眼差しで見つめていた。


「……一夏、何でもかんでも手助けするのが正解って訳じゃない。 簪にとっても、自分である程度の対処が可能なら彼女自身にやらせる。 ――代表候補生なんだ、時にはこんな事態でもちゃんと対処しなくちゃいけない場面だって出てくるはずだ」


 当たり障りのない言葉に、一夏は感情を爆発させる。


「……代表候補生かもしれないけど……ッ! その前に簪は女の子だろッ!! 男ならッ! 女の子に危ない目に遇わせないのが普通だろッ!!」


 胸ぐらを掴む力が強まる――と。


『ちょっとそこの生徒! 喧嘩は止しなさい!! 反省室送りにするわよ!?』


 アリーナに響き渡る教師の声――数学担当であるエドワース・フランシィ先生だ。

 先生の言葉に胸ぐらを掴むのを止めた一夏は俺を一瞥しながら口を開く。


「今度簪を危ない目に遇わせたら、俺は許さないからな! ――男なら、何があっても女の子を守るのが普通だろ。 …………」


 それだけを言い残すや、直ぐ様ピットへと戻っていく一夏。

 静寂が辺りを包む
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