SAO編−白百合の刃−
SAO23-冷女の温度
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りなのさ……」
アスナはぼやきながらも手軽るにスープを作り、三つのマグカップに注ぐ。
「それ、生姜のような香りのハーブを入れているから、ポカポカになるわよ」
昔は料理スキルなんて入れてなかったのに、今や料理スキルはもうすぐコンプリートだと自慢していた。なかなかの心配りね。そう思いながらスープを飲む。冷えた体が温かくなり、熱が染み通った。
「……アスナって、本当変わったよね……昔はこんなんじゃなかったのに」
スープを飲みながら、リズベットはしみじみに口にした。
「そもそも昔のアスナだったら、こんなところへ一緒について行かないのにね……」
「そんなにわたし変わった?」
「変わったと言えば変わった」
昔、私はアスナがいる血聖騎士団に所属していた。イリーナさんの方針かは知らないけど、なにかと私はアスナと共に行動することが多かった。今も昔もアスナの明るい性格でなにかと振り回されることもあったが、前のアスナは攻略とそうじゃない時の差がハッキリと区別されていた。それだけに、アスナは誰よりも攻略に関しては真っ直ぐで、誰よりも現実世界へ帰りたがっていた。
しかし、アスナの行動方針は精神力と釣り合っていなかった。
アスナはデスゲームになってしまったSAOに怯えていたよりも、現実世界に対して怯えていた。だから、一刻も早くゲームクリアを目指していたが、その姿は攻略して人々を救う勇者と言うより、英雄となって功績を残そうとする狂戦士だった。
そんな彼女は今、私に付き合っている。それがお節介でも昔のアスナだったら、あり得ないことだった。
気持ちが変わった。アスナの支えでもあった、攻略という使命から解き放れた。それは心に余裕が持てたと言うこと。未来がこうあるべき自分を作ろうとしなくなった。
だから、アスナは変わったんだろう。誰のおかげかは知らないけど。知りたくもないけど。
「気持ち悪いくらいに変わった」
「気持ち悪いって……ひどぉ――――! ドウセツのその敵を作りそうな言い方慣れたけど、もうちょっと言い方ないの?」
「ない」
「ドウセツのバカ!」
アスナは優しくなった。
それに比べ、優しさが似合わない私にはこの言葉が似合うのよ。
今だって、生活が怖い、臆病者だから……。
それを露にしたら、私はもう立てなくなる。
だから時々恐い。あまりにも優しさを向けられたら、その優しさに依存してしまう自分が恐い。
「ドウセツ?」
アスナが私の顔を伺ってきた。それを誤魔化すように、私は変えた。
「そんなにキリトと言う男がいいのかしら?」
「なんでそこでキリト君の名前が出てくるの!?」
「そりゃアスナ、さっきの流れかしてキリトの名前出てくるのは必然じゃない? キリ
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