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恋姫†袁紹♂伝
閑話―荀ケ視点―
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「れ、麗覇様!?」

そこに袁紹が当たり前のように顔を出す。彼は桂花が抜けた分の仕事もあり、忙しいはずだ。

「見舞いにきたぞ桂花、ああ、起き上がらなくて良い」

「しかし――」

「桂花、これはめい――いや、我の願いだ、横になってくれぬか?」

「う……その言い方はなんかずるいです」

その言葉に素直に体を寝かせる桂花、袁紹は少しむくれた様子の彼女に苦笑しながら、寝台の隣にある椅子に腰掛ける。

「えー、用事を思い出したので、ねねは行くのです」

「ちょ、ちよっと音々音!?」

二人が醸し出す雰囲気に耐えられず、「お大事にーー」という言葉と共に音々音はその場を後にした。
 そして二人きりになり、少し気まずい空気が流れた。

「麗覇様……聞きたいことが」

「む、どうした?」

「何故、音々音は普通に撫でるのですか?」

―――私のときは躊躇したのに、という言葉を飲み込む、さきほど入室した袁紹は、寝台に近づきながら音々音の頭を撫でていた。それも反射的にではなく自然に、それに対して桂花は軽く嫉妬していた。

「……」

「わ、私何言ってるのかしら、麗覇様気にしないで下さい!」

(普段なら胸にしまうのに、風邪のせい?)

羞恥心を感じた彼女は、すぐに質問を撤回するように口を開いたが、袁紹はその質問に答えた。

「音々音はまだ子供であろう?桂花は若いがもう立派な女性だ。軽々しく触れるべきでは無いと思って……な」

そう口にして、少し恥ずかしそうに顔をそむける袁紹

(これって―――私を女として見てくれているって事?)

言葉を理解した桂花の胸に、熱い何かがこみ上げて来る。

「あの、麗覇様」

「どうした?何でも言うが良い。大抵の事は叶えよう」

「では、撫でて欲しいです」

「……そんな事でいいのか?」

「はい、麗覇様に撫でられるの……私は好きです」

「フッ、そうか」

少し困ったように笑った袁紹は、そのまま桂花の頭に手を当て、優しく撫でる。

「あぅ……」

前回とは違い頭巾を被っていないので、直接頭に体温を感じる。彼の手は少し硬く、鍛練を怠っていない証として剣だこの感触もあった。

(ずっとこの時のままならいいのに――)

そう願わずにはいられなかった。しかし時は無常に過ぎていく、やがて桂花は心地よいまどろみに身を任せ、静かに寝息をたてはじめた。


………
……



その翌日、桂花は昨日までの状態が嘘のように元気になっていた。今は笑顔で鼻歌を口ずさみながら歩いている。
 もしも外だったならスキップしていたに違いない。

「あっ、麗覇様!」

そして目当ての人物を見つけ声を上げる。


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