閑話―荀ケ視点―
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皆のもの!!」
『ぶっころすっっ!!』
「『YEAH!!』」
「な、何よあの士気の高さは!?絶対止めるわよ皆!」
『 応!!』
………
……
…
「つ、疲れた」
その後何とか辛勝した桂花は、自室の寝台に倒れこんだ。
袁紹の暴走を、理論付けや、周りの者達を指揮して止められるのは現在彼女一人だ。
以前までは斗詩が担当していたが、完全には止められず大変な思いをしていたらしい。
「……フフッ」
何かと周りに同情される彼女だが、袁紹の暴走を止めるのが嫌いではない、むしろ好きだった。
暴走といっても満足すれば袁紹は正気に戻るため、これといって被害は無い。
袁家にとって彼の暴走と、それを鎮圧するのは一種の遊びのような物である。事実、今日の対決には多くの見学人がいた。それを肴に酒を飲む者もいるほどだ。
この袁紹が度々おこす暴走と、それを鎮圧する事は、桂花にとって自分が袁家の一員であると再認識できる大事な行事であった。
………
……
…
「昨日は、……その、すまなかった」
そして翌日には、こうして謝罪しにやって来る。
(普段の凛々しい麗覇様もいいけど、目じりを下げて申し訳なさそうな顔もいいわね!!)
桂花は笑顔で解釈する。彼女は袁家に毒されているのかもしれない。
しかし不快感は無く、むしろ心地良い、彼になら盲目的に献身するのも悪くない。そしていつかは――
「しかし良く止めてくれた、感謝するぞ桂花」
そう言っておもむろに右手を桂花の頭の上に――
「あっ」
置きそうになった所で戻される。
「危ない危ない、すまないな桂花、所用がある故にもう行くぞ」
「え?あ、はい」
そう言って袁紹は部屋を後にした。
「……撫でようとしたのかしら?」
彼に撫でられる場面を思い浮かべる。身長差もあってか、兄が妹を褒めているような光景だ。
「〜〜っ、想像してみると結構恥ずかしいわね……でも悪くない、悪くないわ!」
桂花の目標に、袁紹に撫でてもらう、が追加された瞬間だった。
………
……
…
―――好感度100%―――
目標は一ヵ月後に、反射的にという形ではあったが達成された。
そしてその翌日、袁紹から三日の休暇を貰った桂花は、緊張の糸が切れたのか、風邪をひいてしまった。
「はぁ……、せめて休暇中だというのが不幸中の幸いね」
「鬼のかくら……なんでもないですぞ!」
看病に来ていた音々音の言葉を視線で止め、口を開く
「何とか休暇中に、いや、明日には直したいわ」
「桂花殿は働きすぎですぞ、たまには休むのも重要なのです」
「その通りだ」
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