閑話―荀ケ視点―
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彼等の策が通用するのは、せいぜい同程度の相手か、賊といった類だろう。
『そうだわ!男は力が強いって、確かお母様が――』
―――弱かった。武官希望の男が自分の力を自慢していたので、同じく武官希望の少女が手合わせを提案し、彼はそれを受けた。
その後、庭で手合わせが行われたのだが―――、男は手も足も出せずあっという間に無力化されてしまった。
男は恥をかいたと言い、そのまま私塾を後にした。それもご丁寧に捨て台詞付だ。
単純な腕力であれば、鍛練をしていない女は男には力で勝てない。しかし、鍛練をした者同士で、女性に勝てる男はいなかった。
『……』
ここまで来ると荀ケの目には、欠点しか映らなくなっていた。容姿、知能、武力、そして―――彼等の目だ。
見た目麗しい少女達に、舐めるような視線を毎日送っている。特に胸と尻に目がいく様で、目を見て話す事は稀だ。
ちなみに講師の女性は豊満な胸を持っており、彼女が入ってくると、決まって男達の視線は胸を凝視している。
『何よあれ、まるで猿じゃない……』
色欲を好み、己たちの研鑽をも後回しにして胸を凝視する彼等は、もはや荀ケにとって滑稽な存在でしかない。
その後も、男達の愚かな場面を見続けてきた。そしてほぼ同時期に賊達の活動が活発になる。
その賊に身を堕とす者達も決まって男がほとんどだ。それを知った荀ケは、自分の判断に確信を持った。
………
……
…
『桂花さんは、仕えたい人がいるのですか?』
『もちろんいるわよ、私は曹操様がいいわね』
幼少から才覚ある人物、そして自身と同じく合理的な考え方、きっと相性が良いに違いない。
『袁家が一番人気あるけど……』
『当主も跡継ぎも男じゃない、愚鈍な主は嫌よ!』
『でも、跡継ぎの袁紹様は神童だって噂だよ?』
『どうせ周りに持ち上げられているだけでしょう?ここの男達のように』
『一応彼等も、幼い頃から英才教育を施されてきたはずなのに、どうしてここまで差が開くんだろうね……』
『そんなの決まっているじゃない』
そこで言葉を切り、男達に冷ややかな視線を向ける。
『下半身に頭のある猿だからよ!!』
荀ケの塾生活は、彼女に男を嫌悪させたまま終わりを迎えた―――
………
……
…
「はぁ……、曹操様」
いよいよ何処かに仕官する時期になり、憧れの女性に想いを馳せる。
「貴方は相変わらず曹操様好きね」
「覇王の器にして傾国の美女だって噂じゃないですか、素晴らしい方に違いないわ!」
「悪いけど桂花の仕官先は決まっているわよ?」
「なっ!?初耳です!!」
「言ってなかったもの」
「〜〜っっ、ちなみに何処
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