閑話―荀ケ視点―
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大陸屈指の名門、荀家に一人の才女がいた。名前は荀ケ、真名を桂花、頭脳明晰で毎日勉学に励む彼女は、母に一つの質問をした。
「お母様、何故後世に名を残す者や、現在活躍している者達のほとんどが女性なのでしょうか?」
「その答えは私にはわからないわ、今度行く私塾で見つかるかも……ね?」
「……」
娘の質問に対する答えを母親は持ち合わせていなかった。たまたま女性が活躍する時代と言うにしても、男との対比がありすぎて説得力に欠ける。
今まで活躍してきた者達の中に男の名は余りにも少ない、これではまるで―――
しかしそんな歪んだ先入観を持たせるわけにもいかず、荀ケが私塾で独自の答えを見つけることに賭けた。
………
……
…
「お母様!私わかったわ!!」
「あら、何がわかったの?」
私塾に通い始めて一週間ほど経ったその日、荀ケは母親に自分の答えを自信たっぷりに聞かせる。
「男は女よりも大分劣った生き物なのよ!」
「っ!?」
荀ケの頭の中で、これまでの私塾での出来事が思い出される。
………
……
…
今まで余り男性と触れ合うことが無かった彼女は、私塾に入ってから同い年の男達を観察する事にした。余談だが、桂花が通うことになった私塾は、大陸各地から将来有望とされた人物達が集まる場所である。
だがその中にも例外がおり、その者達は家柄で私塾に招かれていた。そしてそのほとんどが男達であった。
『………』
しかしそれだけでは軽蔑の対象にはなるはずもない。家柄で招かれたとしても、無能と決まったわけではないのだ。
荀ケは自分にそう言い聞かせ、彼等を上から下まで観察した。まず、彼女が気になったのは彼等の容姿だ。
どの男もこれといった特徴が無く、よく言えば平均的な顔、彼等の名前と顔を一致させるのが、私塾で一番難題だったと荀ケは語った。
それに比べて女性達は何と華やかだろうか、講師の女性を含め、女の塾生達は容姿や体型が優れており、男達とは纏う雰囲気がまるで違っていた。
『……でもまぁ、男の文官も多いし、頭の出来は悪くないかも』
―――悪かった。単純な算術なら出来ていたが、少しでも難易度が上がると音を上げ始める。
指を使って計算しだし、それでも間違えたのを目撃したときは、我慢できずに吹き出してしまったほどだ。
とてもではないが彼等に兵糧の管理や、政務を任せたいとは思えない。そしてこの面でも女性の塾生達は優秀な成績輪修めてみせた。
ならば戦術はどうか?―――凡庸だ、優れた教本があるので、それに載っている策を理解出来てはいるが応用が出来ない。ただただ無難な策しか提案出来ず、それらの策を組み合わせてみたり、少し内容を弄るといった柔軟さを持ち合わせていなかった。
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