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水と油と菊の花
水と油と菊の花
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[9] 最初
|エレベーター用語集より】)をフェリシアーノがのぞき込む。

「みんな寝ちゃってるね」

 その言葉が信じられなくて己も小さなハッチに頭を突っ込むが、やはり連れは嘘をついてはいなかった。

 中の3人はすやすやと状況に合わない寝息を立てている。

 ギルベルトはともかく、ローデリヒと菊は(例の)膝枕という何とも当時の様子がうかがいにくいポジションだ。兄の悶えぶりがひしひしと伝わってくるようでルートヴィッヒは頭を抱える。

「それにしても何をしようとしていたのかなぁ…」

 フェリシアーノはルートヴィッヒの胸中など察さずにまたエレベーターの中に目をやる。

 確かにそれもそうだ。

 ギルベルトは素っ晴らしくきれいに書かれた赤い字の裏紙(日本の世界遺産のプリント)と、ミミズのような文字の這った白紙(オーストリア産)の2枚を片手に持っているのだ。

 そのうちミミズには最後の段に“ローデリヒ・エーデルシュタイン”とサインされている。

「菊…同盟…?」

「またバカなことを…。菊に手を出すと兄貴たちにやられるらしいぞ」

「え〜っ!!」

 フェリシアーノがふてくされたように唇を尖らせる。

「でもいっか!」

 つい先ほどまでとは異なり、太陽のような笑顔を向けられて、ルートヴィッヒも笑い返す。

「さて、早くここから出してあげるとするか」

「了解であります!」



end

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