After22 鳥なき星のコウモリ A
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
『どうして戻ってきたんです! 舞さんの体だって捕まってるのに!』
横にふわりと浮かび寄った舞は、まっすぐ龍玄を見つめた。
「“あの時”のあたしは、ミッチを独りぼっちで置き去りにしちゃった。でも今は、あたしにだって力がある。ミッチを助ける――ううん、ミッチと一緒に戦える力があるんだから」
『舞さん……』
レデュエに囚われていた頃の情けない光実を、舞はこれほど案じてくれていた。異星に紘汰と共に行ってなお、あの時の光実を心の中に留めていてくれた。
「何よりこれは、あたしたちが選択した結果の問題。あたしが背負わなきゃいけないことだから」
龍玄は舞の手を後ろから取った。
『僕も一緒に背負います、舞さん』
仲間は助け合うもの。あの戦いを通して龍玄は、呉島光実はようやくそれを体得した。
自分の中の舞への恋心を措いても、チームメイトだった舞を一人で苦悩させるなど容認できない。
「ありがとう――」
『人が黙ってりゃあ、イチャコラしてんじゃねえぞゴルァ!!』
わん、と放たれた怪音波に対し、舞が前にバリアを張った。そのバリアはすぐヒビが入った。
「やっぱりヘキサちゃんの体じゃ普段の力が出せない……!」
『舞さんは守りに徹してください。攻撃は僕がします』
龍玄は屈み、ブドウ龍砲を撃ってバリアを打ち破り、コウモリインベスに命中させた。
『ぐはっ……このぉ!』
コウモリインベスが翼を広げて飛んでくる。また鉤爪攻撃に出る気だと思い、龍玄は銃を構えたが――
コウモリインベスは鉤爪ではなく足で龍玄の両肩を掴み、高く飛び上がると、その足に力を入れて龍玄の肩を圧迫し始めた。
『ぐっ…っ……ぅ』
両肩を折って戦闘不能にするつもりだと気づいた時には遅かった。
龍玄が暴れれば暴れるほど、コウモリインベスの足は肩に食い込む。
「ミッチ!」
コウモリインベスが腰を180度折って、龍玄の顔を逆さに覗き込んだ。
『どうだ。痛いだろ。けどなあ、俺の心はもっともっと痛かったんだよ! 思い知れ、人間!』
鉤爪が、裂くためでなく、龍玄の首を捉えて絞め始めた。
――この時の龍玄が思ったことは、肩の痛みや呼吸の苦しさではなかった。
奇跡的にブドウ龍砲は手から落ちなかった。
肩を掴まれていても、手は動かすことができる。
龍玄はカッティングブレードを3回切った。
《 ブドウスパーキング 》
拘束に抗いながら上げる腕は力んだことで震えている。
龍玄は酸素欠乏で朦朧とする視界に何とかコウモリインベスを見出し、額に銃口を定めた。
今度は。今度こそは。
『舞さんは、僕が守るッ!!』
喉
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ