第二十五話 【リリカル編】
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いかもしれないし、取り越し苦労なのかもしれないけれど。
そんな事を考えていると御神美由希が熱を出し、母親である美沙斗も付き添いで病院に赴いて出席できないと言う話が聞こえてきた。
ヤバイ!いよいよ史実に忠実な展開になってきてしまっている。
どうすれば…そうだ!此処で俺もぐずり出し病気のフリをすれば?
お母さんだけは俺を病院へと連れて行くために此処から離れられるかも知れない。
利己的だが今の俺ではこれが精一杯だ。どうか許して欲しい。
そう心の中で謝って俺は盛大に咳きをする。
「ケホッケホッ」
俺のセキに気づいたお母さんが俺を心配そうに抱き上げる。
「蒼ちゃんどうしたの?」
「ケホッケホッ」
なおも咳きをし続ける俺。
「ケホッゴホッうぁぁぁぁああああああんゴホッ」
ついに泣き出す演技まで。
「大丈夫蒼ちゃん!?風邪引いたのかしら。どうしましょう。医者に見せた方が良いのかしら…」
「どうしました?」
そう言って一人の男性がお母さんに話しかけてくる。
「大地(だいち)さん…この子…蒼が行き成り咳き込み出しまして。医者に連れて行きたいのですが…父も未だ来ていませんし…」
「ああ、なるほど紫さんは今日は車で?」
「いいえタクシーです」
赤子の世話でどうしても両手が塞がる。
そういった理由で運転できずに此処までは電車とタクシーでの移動だった。
「ならば私が車を出しましょう」
「え?でも」
「どうやら皆タクシーや送迎のバスなどで来たらしく直ぐに車を出せる人間が少ないのですよ」
「…えっと」
「それに俺は小さい頃本当に体が弱くて、剣術の稽古ができなくてね。この歳になっても竹刀すら握った事の無い俺はこの家ではあまり立場がないんで、いたたまれないんです。だから俺を助けると思って」
お母さんは少し考えた後、
「そういう事ならすみませんがよろしくお願いします」
そう言って頭を下げるお母さん。
俺は咳き込みつつもこの場から離れられたことに安堵した。
病院に搬送され、小児科の先生に診てもらう俺。
実際は仮病な訳だが此処で本家に戻されるわけには行かない。
俺は必死に演技して盛大に不健康を装う。
まあ、咽の炎症を確かめた医者は頭を捻ってしまっただろうがそれでも咳きを止めない俺を一応念のため一日入院と言うことで話がついた。
母さんは俺を一人にする事も出来ずに会場へはもどらず俺に付き添ってこのまま泊り込みするようだ。
買い物をするついでに美沙斗さんの所に挨拶に行ってくるらしい。
良かった、これで俺とお母さんの死亡フラグは叩き折れたはず。
本来なら一度家に戻って用意す
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