第四十九話 一時の別れその二
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「天国に行けるわよ」
「生憎私の人生設計は決まっていてね」
「ここで死ぬのね」
「いやいや、妹と一緒に百歳まで生きるのよ」
余裕を持った笑みで返した言葉だった。
「そして孫の孫の顔を見て大往生よ」
「百歳ね」
「大学を卒業して就職して二十五までに結婚してね」
余裕をあえて出してみせての言葉を続ける。
「そうするから」
「百歳まで生きるのね」
「そのつもりよ、だからね」
「それでなのね」
「ここで貴女に負けるつもりはないわ」
それも全く、というのだ。
「貴女にとっては残念なことだけれど」
「その人生設計は狂うわね」
怪人も負けていない、その鈴蘭に返す。
「今ここで」
「私を倒して」
「そうよ、倒してみせるわ」
こう言ってだ、そうしてだった。
怪人はその無数の口がある蔦を鞭の様に両手に持った、そうして日本刀を手にしている鈴蘭に対して向けたのだった。
二つの戦いがはじまった、まずは。
薊は両手に持った棒をだった、いきなり。
思いきり伸ばして怪人に向けて放つ、それを一撃にした。
だが怪人はその刺の鞭で薊の棒を弾き返した、そうして鞭を己の手に戻してからそのうえでこう言ってみせた。
「いい攻撃だったけれど」
「間合いが、だよな」
「少し離れていたわね」
それでだというのだ。
「見切れたわ」
「だよな、けれどな」
「それでもよね」
「これはほんの挨拶だよ」
戦いにおいてのそれだというのだ。
「あたしにしてもな」
「そうね、これ位はね」
「あんた達なら防げるってな」
「最初からわかっていたのね」
「そうさ」
その通りだと言ってだ、そして。
そのうえでだ、薊は両手に持った棒を構えなおし。76
そうして今度は動きだした、その動きはというと。
前に進みつつジグザグに動く、その動きがあまりにも速く。
薊が何人にもいるように見える、その動きを見てだった。
裕香は唸ってだ、こう言った。
「ここでもなのね」
「うん、分身ね」
まさにそれだとだ、向日葵がその裕香に答えた。
「薊ちゃん得意の」
「今回もそれを使うのね」
「そうね、けれどね」
「それでもよね」
「前に進みながらなのはね」
「これまでとは違うわね」
「薊ちゃん成長した?」
向日葵は薊のその前に進みつつの分身を見て言った。
「戦い方とか」
「そうかも、ただ腕を上げただけじゃなくて」
「戦術がね」
こう裕香と話した。
「進歩してるわね」
「その進歩が、よね」
「そう、成長よね」
それになるというのだ。
「薊ちゃんもこれまでの戦いの中でね」
「成長したのね」
「拳法家としてね」
「その拳法で今戦って」
「それでよ」
まさにというのだ。
「その成長
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