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ドリトル先生と二本尻尾の猫
第八幕その三

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「それでいい雰囲気になったら」
「そこでなんだ」
「どっちかが告白すれば」
「いいんだ」
「僕はそう思うよ」
 こう言うのでした。
「まあ僕は女の子と付き合ったことはないけれど」
「いやいや、王子もてるでしょ」
「そうだよね」
「美形だしお肌も奇麗だし」
 ここで動物の皆が王子に言います。
「整った顔立ちが褐色の肌に似合ってるよ」
「縮れた髪の毛も奇麗に整えていて」
「服もお洒落だし」
「背もそれなりにあってスタイルもいいし」
「しかも文武両道じゃない」
 この辺りはイギリス等に留学して備えたのです。
「それでもてないって」
「ないんじゃない?」
「まあ僕達女の子の間での王子の評判は知らないけれど」
「それでもね」
「王子はもてるよ」
「プリンスだし」
「いや、お付き合いはしたことがないんだ」
 このことを強く言う王子でした。
「執事や使用人の人がいつも周りにいて」
「ああ、それでなんだ」
「自由にお付き合いはなんだ」
「出来ないんだね」
「王子だからだね」
 何故そうなのかをです、先生が言いました。
「だからだね」
「うん、これでも次の王様だし」
 王子の王位継承権は一位です、それだけに余計に周りにお付きの人が何人もいていつもお世話をしているのです。
「だからね」
「自由なことはだね」
「今は別だけれど」
「僕といるから」
「先生は僕の友達じゃない」
 それこそ最も親しい、です。
「こうしてお話も出来るんだ」
「そうだね」
「けれどそれでも」
 ここで王子はご自身の後ろをそっと振り返りました、そこにはいつも一緒にいてくれている執事の人が立っています。
「こうしてね」
「お付きの人はだね」
「一緒だよ」
 そうだというのです。
「だから。自由な恋愛は」
「出来ないんだね」
「だから恋愛ゲームが好きなんだ」
「実際には出来ないから」
「憧れなんだ」
 王子にとって、というのです。
「そうした経験もしてみたいね」
「だから実際にはなんだ」
「王子も恋愛経験ないんだ」
「そういうことなんだ」
「結局は」
「そうだよ、けれどね」
 先生達と同じく実際の経験がなくとも、というのです。
「僕は恋愛ゲームのことから言わせてもらうよ」
「お話をしてデートをして」
「そこでいい雰囲気になってだよ」
 王子は先生達に笑顔で言い切りました。
「そこで、なんだ」
「告白だね」
「これで決まりだよ、大事なのはムードだよ」
「それなんだね」
「そう、恋愛は自分達が主人公じゃない」
 愛し合う二人が、です。
「それじゃあ周りの雰囲気も大事だから」
「成程ね」
「だからだよ」
 是非に、です。王子は先生達に確かな声でお話します。
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