明日への翼
05 PROMENADE
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ん?なーに?」
「部活のことだよ」
「ああ……あたしは別に」
興味ないしと視線をそらした。
「俺のことなら気にしなくていいんだぜ。スクルドの才能をくすぶらせておくのはもったいないと思うんだけどな」
「──もう、その話はなし」
スクルドは自分の唇に人差し指をあてている。
「何回も言ってるけど、あたしにとって一番大切なのは仙太郎のそばにいることなんだから」
何か言いかけようとした仙太郎の唇をその指で縦に塞いだ。
間接キッスじゃないか。
仙太郎の頬が染まった。
「──ね」
一級神の微笑だった。
「スクルド姉様」
背後から掛かってきた声。
艶のある黒髪を細くて長いリボンでツインテールに纏めている。ベルダンディーの天衣を模したワンピースを身に纏っていた。六歳にしては小柄な彼女には、可愛らしくてとてもよく似合っている。
「愛鈴」
「ごめんなさい、いい雰囲気のところで。なかなか会いに来てくださらないから、私のほうから来ちゃった」
確かに他力本願寺には一度行ったきりで、その後は訪ねて行ってはいなかった。
「今から家にいらっしゃいませんか」
「いまから?」
別段ウルドになど会いたくはないが、ばんぺい君やシーグルもいるし、いやいや、問題はそんなことではなくて。
「でも、夕ご飯の用意とかあるし」
「電話を入れておけば大丈夫ですよ」
スクルドの腕を両手にとって揺さぶる。甘えた声は愛鈴としては非常に珍しい。
「ねぇ、いいでしょう……お姉さまぁ」
──ふう
スクルドの溜息。
まったく、おねだり上手なのは相変わらずだ。
「いいわよ、でもね、いちど家に戻って鞄を置いてくるわ。それからでいいでしょう?」
いずれにしろ他力本願寺には川西家の前を通って行くことになるのだから。
川西家に戻って静子に報告。
「食事はどうするの?」
「たぶん向こうで頂くことになると思います」
「……あまり遅くならないうちに戻ってらっしゃいね」
「判りました。行ってきます」
他力本願時の母屋。
満面の笑みで愛鈴が出迎えた。後ろにはシーグルの姿も見えた。
「いらっしゃい、スクルド姉さま、仙太郎さん」
結局こういうことなのね。
スクルドは、台所でエプロンをして夕ご飯の支度をしながら溜息をついた。
ウルドの家事は壊滅的だ。料理のほうもやれば出来る程度で得意ではない。
恵だって一人暮らしが長いので自炊ぐらいは出来る。しかし、出来るのと美味しいかどうかはまったく別の話なわけで。最近では自分で作るよりも安上がりな惣菜だってスーパーで売られているわけだし。仕事もあるのでやはり利便性のほうを追求してしまう。やらなければ出来るようになるわけがない。
「うふふ、スクルド姉さまのお料理、美味しいもの」
茶の間
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