明日への翼
05 PROMENADE
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のことは判らないけど今のところはね」
口の中で「仙太郎がどうしてもって言うんなら……」と呟いている。
学校の正門をくぐった。昇降口から二階の二年の自分達のクラスに。九十九は別なのでここでお別れだ。もっとも、隣同士のクラスなので仙太郎は体育の授業で一緒になるのだが。
朝のHRから通常の授業へ。
カリキュラムは滞りなく進んで四時限目が終了した。
お昼休み、お弁当の時間。
「この金平ごぼう美味しいね」
「でしょう。お姉さまに教わったのよ」
「あー……今頃どうしてるかな」
仙太郎はベルダンディーの美貌を思い浮かべているらしい。
「きっと幸せ色に染まってるわよ──なあに?会いたいの?」
このあたしがいるのに。
と、睨まれて、仙太郎は慌てて顔の前で手を振っていた。
「いや、ちが……どうしてるかなって、思っただけだよ」
慌てぶりが可笑しかったのかスクルドも頬を緩めている。
「冗談よ。あたしもお姉さまに会いたいなぁ」
「ウルド姉さんならお寺に行けば会えるじゃないか」
「違うわよっ、ウルドなんかどうでもいいの……もぉ」
ぷくっと頬が膨らんだ。
地上界に降りてきたスクルドの後を追うようにウルドと愛鈴も降臨した。昔のように他力本願寺に居を構えている。ただしそこにはベルダンディーや螢一の姿はない。螢一は天上界でユグドラシルのハード管理神という要職にあるのだし、ベルダンディーももう「仕事」として降りてくることはあってもそれ以上はない。
現在の他力本願寺の住人は、螢一の妹の森里恵とウルド、愛鈴、ばんぺい君、シーグル、三人と二体だった。姿を見せないが、ニンジャマスターたちも健在だろう。ヴェルスパーはどこかに行ってしまって行方がわからない。いずれひょっこり戻ってくるかもしれない。
愛鈴は地上界に降りてすぐに「光の蝶(メッセンジャー)」をスクルドに送ってきた。
誘いに応じて他力本願寺に向かった二人。
仙太郎は愛鈴と対面した。
「あ……君は」
「二級神一種限定アイリンです」
にっこりと笑って優雅に頭を下げる。
梅雨の雨が降り続くあの日、灰色の雑踏の中で仙太郎に声を掛けてきた少女だった。
「ところでさ、愛鈴ちゃん、可愛いよね」
「でっしょー!」
スクルドの表情がめぐるましく変わる。まさに百面相だ。
「普段は礼儀正しくて物静かなんだけど、あの娘、いざとなった時の行動力は凄いのよ──さすがあたしの妹」
えっへんと自慢げに胸を張っていた。
「妹じゃないだろ」 とはあえて突っ込まない仙太郎だった。
お昼休みも終わりに近づいて、仙太郎は五時限目の「物理」の授業の準備をしようと、机の中に手を入れたのだが。
「あれぇ?」
「どうしたの?」
「ノートがない、しまった、昨夜課題やって机の上に置きっ放
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