明日への翼
05 PROMENADE
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の、今日はありのまま頑張って、今夜からでもあたしが特訓してあげるわ」
「はぁ……」
「あたしだって仙太郎と夏休みを自由に過ごしたいもの」
「お手柔らかにお願いします」
スクルドに拝んでみせる。
「だーめ、ビシビシいくからねっ」
快活で小生意気な態度。
一級神になってもこんなところは相変わらずだ。もっとも、相手が仙太郎であるからこそだろう。
なんともはや。仲のよろしいことで。
教室でもこんな調子だ。。
男子生徒と女子生徒が別れる体育の授業以外はほとんど一緒にいる。席だって隣同士。
最早全校公認のカップル──であることは間違いがない。
背後から仙太郎の背中を鞄でどやしつけた者がいる。
「いよっ、川西」
「九十九」
中学時代からの親友の九十九三蔵だった。
仙太郎と同じスポーツ刈りの日焼けした顔に意志の強そうな瞳が光っていた。背の高さは仙太郎と同じぐらいだが、体格はずっと九十九の方ががっしりしていて、腕も足も太く胸の厚さや体重もあるようだ。
「おはよう。九十九君」
「おはよう。スクルド」
ニカッ、と白い歯を剥き出す。
「スクルドは部活どうするの?」
「うーん、いろいろお誘いは来てるんだけど……」
ちらりと仙太郎に視線を送っていた。
「帰宅部の仙太郎に付き合うことないのに」
「ううん、それは出来ないわ。今のあたしには仙太郎と一緒にいることが一番大事だもの」
ここまではっきり言われると聞いているほうが照れてしまう。
さりとて、二人の間からはとくにべたべたしているって感じが受けない。むしろ邪魔をしないでそっとしておいてあげたい。そんな雰囲気の二人だった。
「もったいない……」
「えっ?」
「いや、仙太郎が帰宅部なのがさ」
「なのよね〜。足だって充分速いし、どうして陸上部とか入らないの?」
問われて仙太郎は曖昧に笑っている。
「自転車を、B M X(フラットトリック)をやりたいんだよ」
自転車競技には、トラック競技場(競輪場を含む)で行うトラック・レース、一般の公道を使用して行うロード・レース、オフロードを使用するマウンテンバイク(MTB)やシクロクロス、BMX、室内で行われるサイクル・サッカーやサイクル・フィギアなどがあるが、高体連(全国高等学校体育連盟自転車競技専門部)ではトラック・レースとロード・レースだけを行っている。
つまり、仙太郎のやりたい競技は高体連では扱っていないということだ。
ちなみに仙太郎達が通う高校には自転車競技部はない。どちらにしろないのだから仙太郎の学力に合わせた進学をしたのだった。
仮に別の部活に入ってしまえば当然ながら時間が絞られてしまう。
だとしたら、帰宅部でやりたいBMXをやっていたい。レースや競技は個人でも参加できるのだし。
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